81.これまで繰り返し語られてきたことだが、この映画は、悪夢の如き戦争を描いたのではなく、戦争に纏わる悪夢そのものを描いているのである。まず、冒頭。密林を一瞬に炎と化すナパーム弾、「ワルキューレの騎行」の旋律とともに隊列を組むヘリコプターの一群。破壊の象徴としての圧倒的な重量感と硬質性、その神々しさ。戦争という生の破壊的状況において、それは荒ぶる女神の如き美しいものとなる。中盤。ボートを駆って河の上流を目指す一隊に訪れるベトナム戦争という義なき闘争への疑念。剥ぎ取られていく人間性。河の上流は、明らかに人を正義から狂気へと導く思念的道筋である。終盤。此の世の境界というべきド・ラン橋を超えた辺りより、映画には常に不穏な音楽が流れ続ける。ボートは遂に彼岸とも言うべきカーツ王国に辿りつく。カーツを神と崇める天国。それはカーツの思念的理想を生み出した地獄でもある。ウィラードによるカーツ殺しは、文化人類学的に言う「王殺し」であろうか。これもカーツの思念的達成である。<特別編では、カーツを殺したウィラードは、鬼が島から帰還する桃太郎の如く、村上春樹の「羊をめぐる冒険」の主人公の如く、現世に戻る。> ここまでストーリーを俯瞰してきたが、改めてこの物語の骨子を言えば、それは「狂気のその先にあるもの、その一線を越えることへの抑えがたい欲望と恐怖」である。そしてその答えは、Nothingなのである。この物語はそういう悪夢なのだ。そう、これはコッポラの悪夢。彼が芸術的信念に基づいて辿った悪夢の先、現代の黙示録として名づけた物語の終末はNowhereであり、Nothingなのである。彼がただ善悪を超えた美しさ、心象の完全性のその先に描いた光景、それは物語として如何に脆く儚いものであったろうか。Nothing。その恐怖。そんなものは物語として、映像として描ききれるものではないのだ。その到達と挫折が混沌としたラストシーン。彼の作品に対する自身の評価は、どうだったのだろうか。それは、彼が80年代以降に辿った道筋によって示されている。しかし、映画界でこの領域にまで足を踏み入れた作品は数少ない。そして僕にとっても忘れがたい悪夢としてこの映画は脳裏に刻まれることになった。大傑作。<全くもって個人的に。。> 【onomichi】さん 10点(2004-03-28 21:45:54) (良:1票) |
80.時が経つにつれて、どんどん評価が高まっていく不思議な作品です。二度とこんな映画をロケーションでは撮れないでしょうね。スキャンダラスな製作裏話とあわせて歴史に残るでしょう。 【nizam】さん 9点(2004-03-11 12:56:16) |
79.《ネタバレ》 やたらとエネルギーを感じる映画です。これはコッポラ監督の執念でしょうか。観る方もまた、エネルギーを必要とする映画です。この映画程、戦争は怖いと言い切っていない映画も珍しいのではないでしょうか。確かに戦争はいけません。絶対にあってはならないものです。しかし、闘う、占領する、殺すといった行為を、ワルキューレの騎行に乗ってヘリが海岸線を飛んでくる場面で見せられた日には、胸の奥からズズズンと熱いものが込み上げ、ひたすら高揚感を覚える自分がいるのに気付かされます。人間の本能を刺激するというのか、眠っている闘争心を駆り立てると言うのか。それがこの映画のメッセージなのですね。そうした想いを正当化するために「狂気」という言葉が有り、その言葉の元、平気で戦える理由があると言う。狂気に駆り立てられた人々の行為をこれでもかと見せて、映画は終わります。観賞後もしばし、自分の中の「狂気」を沈めてリセットしなければならない 辛い映画でした。でも、この辛さを感じさせる圧倒的な内容には参りましたと言う他ありません。 【映画小僧】さん 8点(2004-03-10 10:29:37) |
78.ストーリーは決して破綻してないですね。別の人が撮れば、ここまで話題作とはならなかったまでも、骨太の戦争映画ができると思います。音楽は抜群です。ワーグナーもドアーズも両方ばっちりですね。問題点は、プロットが散漫すぎることとテーマを描ききってないことでしょう。これは、コッポラが「錯綜」や「狂気」を表現したくて確信犯的にやっていることだと思いますが、やっぱり川を上るあたりでは眠気に襲われます。多分幾ら理由付けしてこういう作品の良さを布教したところで無駄でしょう。観た者に「こういうの好き?」「退屈?」という二者択一を迫る映画ですから。この作品が好きで何回も観た人の気持ちは判るし、コッポラの気骨には10点あげたいですが、個人的にはやや「退屈」でした。 |
77.ベトナム戦争に参加した人達の、その後の話って、アメリカではならの重いテーマなんだろうけど、僕には共感しにくいです。すみません。 【hyam】さん 4点(2004-01-14 15:50:43) |
76.言いたいことは、何となく分かる.. しかし、映画として全く面白みがない... (期待ハズレだ..) 【コナンが一番】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2004-01-13 20:08:18) |
75.アメリカは何故ベトナムに負けたのか…?に対する、アメリカ人自身によるひとつの回答。アメリカ人は、己が創り上げた人工享楽物から切り離されると意外と脆い(伝統文化を持たない国の宿命か)。サーフィン→慰安ショー→ラジオ…川を遡って行くに従い、その切り離され具合が段々とアップしていく。そして全てを剥ぎ取られた状態で何が現れたか…という感じで、かなり興味深く観れました。これを観るとアメリカ人が何故「禅」やメディテーションに異様な関心を示すのかなんとなく納得できる感じ。 …評価の違いは「好き・嫌い」でなく、まず「何を言っているかがわかるか・否か」に拠ってくると思う。「プラトーン」的なものを求める向きにはあまりお勧めではないです… 【番茶】さん 9点(2004-01-05 01:10:07) |
74.スペースオペラという言葉があるけれど、その映像と音楽の素晴らしさからオペラという形容詞が浮かんでしまいます(実際にオペラなんて見たこと無いからええ加減ですけど。。)こんな映画は二度と作られないでしょう。そういう意味で金字塔的作品。カーツ大佐が出現してからのヨロメキっぷりを差し引いて充分おつりがきます。 【アトミック】さん 9点(2004-01-05 00:17:58) |
73.結局、難しい事を語っているようでいて何も語っていないような気がする。最初に見た時は思春期のませた年頃だったので恥ずかしい事にかなり熱狂した覚えがあるけど今見ると色々と中途半端な感じがする。ナチスが愛好したワグナーをBGMにベトナムの村で虐殺する場面は意図的なのか無意識なのか? 【こま】さん 6点(2004-01-01 19:39:07) |
72.フランシス・フォード・コッポラにやりたい放題やらせちゃイケナイ、とハリウッドが悟るには充分な映画でしたね。でも突き抜けたおバカさ感があって私は好き。これ本当にやっちゃうんだから、やっぱりコッポラって相当な映画バカでしょう。作品としてまとまりに欠けるとか、言いたいことがちゃんと言えてないとか、とにかくもうありとあらゆる欠点だらけの映画なんだけど、監督の「誰が何と言おうとオレはこれがやりたいんだぁ~~~っ」という有無を言わせぬイキオイがガンガン伝わって来るので気の弱い私なんかうっかりゴメンナサイとか言ってしまう。これはそういう映画なんであって、シナリオ作法の教室にこれを持ってったら落第食らうのは必至。でもね、こういうクレイジーなことが出来た頃のコッポラってやっぱりステキだったんですよ。私にとってジゴモクって、横山ヤスシの漫才と一緒。さすがに当人も凝りたのか、その後あんまり大バカはやらかしてないみたいだけど、守りに入っちゃったなぁおとーちゃん。という感じですね。この映画、必要悪と違いますか? 【anemone】さん 8点(2003-12-20 02:49:42) |
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71.もちろんこの映画は見ました...が、結局何が言いたいのかわけわからん。映画の後半というか話の主題のカーツ(だっけ)大佐の帝国話は何なの?何が言いたかったの?(ヌーっと出てこられてもなぁ..) 有名すぎるワルキューレに乗せてのヘリによる戦闘シーンは戦 争映画史に残る名シーンだと思うけど、結局この映画で覚えてるのはそこだけだ、というのが正直なところです、はい。 【あばれて万歳】さん 5点(2003-12-19 22:12:45) |
70.もう何回見たことか。愛してると言ってもいいくらいの映画です。 なにより映像が美しいし,音楽の使い方も素晴らしい。 深読みするのは勝手だけど,ストーリーについて言えばこれはどう見てもただ単に破綻してるだけでしょう。従って,ストーリーには関心を持たないのがこの映画を愛するコツではないかと。 |
【虎尾】さん 6点(2003-12-13 00:21:36) |
68.「難解」という映画なら、俺の頭が悪いのでしょう。さっぱりわからなかった。中盤から眠たくて眠たくて・・・ 【ディーゼル】さん 3点(2003-12-06 20:46:22) |
67.ノンクレジットな70ミリ版で見ました(ラストの炎上が入ってないタイプですね)。色々と賛否両論ある映画ではありますが、私はこの映画、やっぱりコッポラが上手い事コントロールできなかった映画、だと思います。描かれるエピソードがとっ散らかった印象で、それはベトナムの混乱を表している、と好意的に解釈できなくもないですが、やっぱり編集しきれてないだけなんじゃ、と。その繋がりが悪いために、マーティン・シーンが辿る物語に、ちっとも意識が向いてゆかず、彼のドラマが迫ってきません。かと言って、「ジュラシック・パーク」のように地獄巡りツアーに同行した観客の視点、という訳でもないですし。登場する様々な映像には、視点の差異があり、それはコッポラが確固たる信念の元で撮ってた訳じゃない事を感じさせます。その末に辿り着く世界は、もはや映画のリアリズムから軌道を外れたファンタジー。カーツさん、「狂気」に説得力を感じさせて下さいな、と思う私なのでした。 【あにやん🌈】さん 6点(2003-12-06 14:13:51) (良:1票) |
【ボバン】さん 6点(2003-12-03 01:37:12) |
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64.あまりに哲学的すぎる戦争映画は苦手です(汗)。これはキューブリックの「フルメタルジャケット」にも言えることだけれど、ベトナム戦争を描く場合、どうしてもアメリカ人は何かの”いいわけ”をしたがると感じます。この場合もマーロン・ブランドのカーツ大佐が何を目指したのかが私には理解できませんでした。おまけに、そこに向かうマーティン・シーンの役も最後に理解できなくなる。彼が途中で出会うさまざまなキャラクターが与える影響(やはりロバート・デュバルでしょう!)が、彼を変えていくという、一種のロード・ムービーと見ることはできるでしょうが、最後にもやもやしてしまったのが残念です。もしかしたら、ベトナムであったことの、こういうわけのわからなさを描きたかったのでしょうか? 【オオカミ】さん 5点(2003-11-16 17:50:58) |
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62.最初はすげー戦闘と、ばかなグラサンかけた現場指揮官がいておもろかったけど、最後は宗教に話が進んで難しくなった。 おれはばかなんでこの映画何を訴えたいのかわからなかった けど戦闘シーンはおもしれーし、マーチンシーンがしぶかったぜ 【アルカポネ】さん 5点(2003-11-10 23:24:43) |