2.《ネタバレ》 「ザ・スクエア」は信頼と思いやりの聖域です。この中では、誰もが平等の権利と義務を持ちます――。伝統と格式を重んじる美術館でチーフ・キュレーターを務めるクリスティアンは、常に資金繰りと次々と起こる問題に奔走していた。そんなある日、彼は通勤中に掏摸に遭い、財布やスマホ、果ては祖父の形見であるカフスボタンまで盗まれてしまう。GPS機能を使い、犯人のアパートまで特定したクリスティアンは、ちょっとした思い付きから全ての部屋のポストに脅迫文を投函するのだった。「この泥棒め。僕の持ち物を返せ」と。だが、すぐに盗品が返ってくると思いきや、掏摸とは無関係の住民から面倒臭い事態が持ち上がる。そこに新たな展示作品「ザ・スクエア」の宣伝方法を巡り、世間から猛烈な批判を受ける羽目に。さらには、一夜だけの関係だと思っていた女性から責任を求められたり、破天荒な芸術家が過激なパフォーマンスを行ったりと、様々な問題が次から次へと持ち上がるのだった。果たしてクリスティアンは、無事に次の展覧会を開くことは出来るのか?上流階級に暮らすセレブたちの虚飾に塗れた生活をシニカルかつブラックに描いた、カンヌ映画祭パルムドール受賞作。何の予備知識もなく今回鑑賞してみたのですが、いかにもカンヌが好きそうな変な映画でしたね、これ。とにかく映画が終わるまでの二時間半の間、観客の神経を逆撫でするようないや~~~なエピソードをいちいち盛ってくるんですよ。それはもう徹底していて、例えばシーンの合間に必ず路上の物乞いの姿を入れ込んでみたり、トークショーでやたらと下ネタを連呼する神経症の客が居たり、セックスが終わった後に女性がひたすら使用済みのコンドームを欲しがったり、猿真似をする芸術家が暴走して暴力沙汰を起こしているのに誰もが面倒臭がって傍観していたり、極めつけは「ザ・スクエア」の宣伝のために物乞いの少女を爆破させたりと、もう細かなエピソードの一つ一つに至るまで極めて悪趣味で変態的。ここまで徹底していると逆に清々しく感じるくらいです。これらのシニカルなネタの数々を笑い飛ばすことが出来ればきっと楽しめるんでしょうけど、残念ながら僕は全然笑えませんでした。見れば見るほど不快感が高まってきて、最後の方は「もういいから早く終わってくれー」とかなりげんなり。特に暴走猿真似男と、大人に上から目線でぶちギレる子供には不快指数マックスに!ここまで徹頭徹尾人の神経を逆撫でできるのはある意味凄いと思うので、この監督きっと才能は有るんでしょうけど、僕はもういいです。