7.《ネタバレ》 この映画を、タイトルだけ見て、ふーん、昔の映画ねぇ、で、その後の老人の話ねぇ ふーん。
で終わるんだったら、ただの3点もつかない映画だ。その点だけで見れば、山田洋次監督作品の中では”駄作”に近い作品になっているだろう。
が、この映画製作時、世界中が大変なことになっていたのを考慮し、不世出の役者がこの映画の本当の”主役”であったことを知るものにとっては、「山田さん、よくぞ残してくれた」の思いに近いだろう。
この映画の優れた演技者は、菅田将暉、永野芽郁、北川景子、野田洋次郎と私は見る。主人公たちの4人のはつらつとした演技が無ければ、老年時の悲しさが引き立たない。
特に北川景子は頑張ったと思う。
ひねくれた意見ではあるが、沢田研二は、そのまま志村けんの演技指導のまま。そう感じた。沢田氏も不世出の歌手であり、TVドラマなどではきちんとした演技も、そして怪演技もしてきた人だ。そのひとが志村氏の設定のまま演ずる。そこに私はずーーと違和感を感じた。
沢田氏を知る人にとっては「ほんとにこの人の演技なの?」という疑問が最初から最後まで付きまとう。
お願いがある。この映画のDVDには、志村けん氏の過去の映画登場シーンも併録してほしい。そうでないと、なんでこんな平板な、底が薄く見えるような映画をここまで一生懸命みんなが演じたのかわからないじゃないか。
だからものすごく注釈をつけなければならない映画。あーそんな映画、過去に”名作”と呼ばれた事がないよね。
コロナで日本が大変だったのを映像として残した点、志村氏を知るものから見れば涙物の映画。それぞれ+1点。合計で5点をつけた。
そこまで。それ以上の点数は巨匠である山田監督を貶めそうな気がする。そういう意味である。
ただ、この映画が中止にならなかった事。その努力をした人々には感謝しよう。しっかり後生に記録を残してくれたのは感謝だ。(ただし志村氏の記録も併設してよ!)