1.吉永小百合と三浦友和の汚れ役が珍しい。とはいえけっしてハマっているわけではなく、ものすごく無理してる感が漂ってきます。どう考えても、吉永小百合に死刑囚役は似合いません。またけっこう〝濡れ場〟が多いわけですが、いかにも「演技してます」という感じ。当然ながら肌の露出も最小限。終盤のほうで「私は人形みたい」「愛が欲しかった」みたいなセリフがありましたが、結局この女優さん自体、幸か不幸かその容姿のため、世間のイメージは清廉で人畜無害な人形として定着している気がします。それを脱却すべく、無理したくなる気持ちもわからなくはありませんが。
ただお話としてはけっこう面白い。津川雅彦と西田敏行のコンビは、家康・秀忠の前哨のように輝いています。丹波哲郎はやはり刑事役がよく似合います。田舎の温泉街の閉鎖的でジメッとした雰囲気も、いかにも日本的。やはり主役2人を適役の役者が演じていたら、もっと没入できたんじゃないかと思うといささか残念です。