1.《ネタバレ》 「ジャンクフードばかりの生活をしている男に自然食志向の彼女が出来て、二人は一度は仲違いをしてしまうけれど、それぞれの価値観を受け入れて結ばれ、新たな価値観が生まれてゆく」という話を男の飼い犬(元々は野良犬)ウィンストンの視点から描いてます。
セリフが殆ど無く(意味を持った単語は唯一「WAIT」だけだったと思います)、犬の目の高さから描かれる世界は断片的でありながら、彼の前に差し出される料理と、その背景に描かれた男女二人の空気から見事な流れを感じる事ができます。
すれ違っていた二人を結びつけるウィンストン、そのクライマックスでの距離を縮める二人の足元がそのまま時間を跳躍する見事さ、落ち着くところへ落ち着いたように思えたところで昇る朝日のように姿を見せる新たな生、とても上手くてつい感動させられます。
映像は3DCGで作られていますが、手描き風なトゥーンレンダリングの、更に新しい技術を使っているように思います。輪郭線ポリゴンの代わりにエッジに細かな凸凹が描かれ、それはまるで紙の上に描かれた絵のようで。
そういう表現法の模索とそれに伴う技術の革新は単純に素晴らしい事だと思います。
ちなみに私はこれを見て「じゃあウチの猫達にも人間の食べ物を思う存分食べさせてあげよう」とか思ったりする訳はないので、ウィンストンの飽食っぷりも「1つの幸せのカタチ」だと思って別に気になりませんでした。もちろん現実に存在する犬にアレやってたら問題ですけど。