3.《ネタバレ》 雰囲気はカルトっぽいですが、中身は万人受けしそうな分かりやすいストーリーホラーになっています。シャム双生児という極めてデリケートな人権問題を、ホラーエンタメにしてしまうという不謹慎極まりない作品ではありますが、そこはフィクションとしてわりきってしまうのが大切なんでしょう。兄ベリアルがどこに潜んでいるのかわからないという恐怖感を煽る演出は王道をいっていて、ホラー映画の醍醐味を十分に堪能できる作品です。
それにしても、最近の映画に見慣れてしまうと、兄ベリアルのカクカクとした動きに作り物っぽさを感じてしまいます。ですが物語りが進むにつれ、リアルに、自然に見え始めるので何とも不思議。特に中盤から目ヂカラが半端なくて、パッケージにもなっているバスケットケースから除く目には感動すら覚えます。
そして過去の回想シーンに入ってからがこの作品は面白い。過去のエピソードだけでも、今作は見る価値があると思います。手術シーンもさることながら、ゴミ袋に入れられた兄を助けに行くシーンが何とも切ない。このエピソードを見た後では、兄弟に対する思い入れもまた一味違ったものになるわけです。ホラーなのに、ストーリー構成が大変素晴らしいです。賞賛に値します。
音楽だけが個人的には今イチです。一昔前のホラー映画って、全部挿入される音楽及び効果音が同じに聞こえます。まさに古い映画ですよって感じのプア~ンっていう効果音。あれがあんまり好きじゃないんです。でもベリアルの叫び声は最高です。