竜とそばかすの姫のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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竜とそばかすの姫

[リュウトソバカスノヒメ]
2021年上映時間:121分
平均点:5.30 / 10(Review 53人) (点数分布表示)
公開開始日(2021-07-16)
SFアドベンチャーファンタジーアニメミステリー青春もの音楽ものネットもの
新規登録(2021-05-16)【イニシャルK】さん
タイトル情報更新(2024-09-08)【イニシャルK】さん
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監督細田守
中村佳穂すず(内藤鈴)/ベル
佐藤健竜/恵
成田凌しのぶくん(久武忍)
染谷将太カミシン(千頭慎次郎)
玉城ティナルカちゃん(渡辺瑠果)
幾田りらヒロちゃん(別役弘香)
森川智之ジャスティン
津田健次郎イェリネク
小山茉美スワン
宮野真守ひとかわむい太郎&ぐっとこらえ丸
森山良子吉谷さん
清水ミチコ喜多さん
坂本冬美奥本さん
岩崎良美中井さん
石黒賢恵と知の父親
役所広司すずの父親
島本須美すずの母親
宮本充フォックス
牛山茂司会者
多田野曜平野球評論家
朝井彩加
行成とあ
藤原夏海
榎木淳弥
鈴木れい子
黒沢ともよ
悠木碧
長谷川育美
千本木彩花
長縄まりあ
原作細田守
脚本細田守
音楽岩崎太整(音楽/音楽監督)
作詞荒木とよひさ「心の瞳」
中村佳穂「歌よ」/「心のそばに」/「はなればなれの君へ」
細田守「心のそばに」/「はなればなれの君へ」
岩崎太整「はなればなれの君へ」
作曲三木たかし「心の瞳」
岩崎太整「心のそばに」/「はなればなれの君へ」
編曲岩崎太整「心のそばに」/「はなればなれの君へ」
主題歌中村佳穂millennium parade & Belle「U」(Vocal:Belle)
挿入曲森山良子「いざ、リラを奏でて歌わん」
清水ミチコ「いざ、リラを奏でて歌わん」
坂本冬美「いざ、リラを奏でて歌わん」
岩崎良美「いざ、リラを奏でて歌わん」
中村佳穂「いざ、リラを奏でて歌わん」/「歌よ」/「心のそばに」/「はなればなれの君へ」
製作スタジオ地図(製作幹事 スタジオ地図有限責任事業組合(LLP))(共同事業体)
日本テレビ(製作幹事/共同事業体)
KADOKAWA(共同事業体)
東宝(プロモーションパートナーズ)
読売テレビ(プロモーションパートナーズ)
電通(プロモーションパートナーズ)
博報堂DYメディアパートナーズ(プロモーションパートナーズ)
読売新聞社(プロモーションパートナーズ)
企画スタジオ地図
制作スタジオ地図
配給東宝
作画山下高明(〈U〉作画監督/CG作画監督)
青山浩行(作画監督/現実世界キャラクターデザイン)
美術上條安里(美術設定)
コミックス・ウェーブ・フィルム(背景)
衣装伊賀大介
編集西山茂
その他講談社(響影協力)
市川南〔製作〕(スペシャルサンクス)
奥田誠治(スペシャルサンクス)
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123
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53.《ネタバレ》 夏休みということで久々に家族で映画館。細田監督作品はあまり好みではないのだけれど、家族が見たいというので付き添い。細田さん、人の気持ちの襞を丁寧に描くのが苦手な割には妙に「重い」家族問題を持ち込みたがるのが気になっているのだけれど、今作も冒頭から少女が母親を失うエピソードで始まり、後半には虐待話まで絡んでくる。でも予想どおりというか、その重さを背負い切れておらず、むしろ物語を進めるためのコマっぽくなっているのが不愉快である。夏休みのファミリームービーで虐待を扱うっていうことの意味とか、わかってるんだろうか。少女が「1人」で助けに行くとか、無茶苦茶な展開で専門家の助言とかもちゃんと反映されているようにも見えない。あの兄弟のその先もちゃんと描かれているようにも見えず、重いのに「いい話」に落とし込む感じも不愉快だ。だいたい、ラストの兄にあんな台詞を言わせる脚本に、虐待問題について語る資格なんてないだろう。もう彼は十分にがんばったし、闘ったんだよ。これ以上どうしろというんだよ。浅はかに「感動」に持って行こうとする脚本は思い出すだけで腹が立つ。

仮想空間シーンで『美女と野獣』そのままの展開になるのも意味がわからないし(エンドロールの最後に延々名前が出てきたテレビ局関係者から「美女と野獣っぽいの入れましょうよ」と無理な入れ知恵でもされたのではないかと勘ぐるくらい・・・)、Amazonプライムの『ボーイズ』を思わせるスポンサー付き極悪ヒーローキャラもまったく新鮮味はない。ベルが竜に入れ込む過程もよくわかんないし、そんなわけで唯一よかったのはベルが歌う楽曲。でもこれもオリジナリティがあったのは最初の『U』くらい。冒頭10分だけは楽曲・歌声・クジラのビジュアルに引き込まれた。ただ、それだけの作品だった。
ころりさんさん [映画館(邦画)] 2点(2021-07-22 23:23:20)(良:3票)
52.《ネタバレ》 ※ラストに言及してます。未見の方はご注意下さい。

「サマーウォーズ」を彷彿とさせる田舎×仮想空間な設定。今度はどんな世界を見せてくれるのかな?と期待したが、残念ながらそれを超えるような斬新さもなく、さらに小ぢんまりとした世界に終始しており、全然魅力を感じられ無かった。

そもそも、全てにおいて展開が急過ぎてついて行けない。
例えば、主人公がUの世界に入るや否や歌姫になってしまうくだり。即興的に歌い出したはずなのにもうレコーディングを済ませたかのような完成された歌声とサウンドに違和感を感じてしまう。
ここで、Uの世界は隠れた才能を引き出す(だっけ?)という設定があるからだよ、と指摘する人もいるかもしれない。まあ、それはそれで良いとしよう。しかし、50億人もいるのに目立って活躍しているのが主人公と竜くらいってどうなの?もっと沢山色んな
才能を持った人が出てくると思ったよ。
ていうか、Uの世界は何が魅力なのかもよく分からないのね。ただ集まっている人らは何をしてるんだろうかとか、ほんとに50億人も利用しているんならもっと色んな魅力があるはずだろうと。

それから、先ほど触れた竜が出現した途端、主人公は竜の事で頭がいっぱいになるが、その理由がまず弱くて置いてきぼりを食らったのね。もうちょいそこに説得性を持たせて欲しかった。その後も無理矢理ラブストーリー的な展開に持っていくのも無理があり過ぎる。「美女と野獣」をやりたいだけでは?そもそも主人公は幼馴染を好きだったはずでは?
で、最終的にそのリュウを現実世界で助けに行くって話になる訳だが、また「サマーウォーズ」と同じでトントン拍子で進んで行くものだから何も感動とか無いし、むしろ何も解決しないで帰って来てない?大丈夫?
何か帰ってきた主人公が皆によくやったと褒められて、めでたしめでたしってなってたけど、結局あの子達はどうなったのさ?ちゃんと保護されたの?その描写すら無いし、あまりにも無責任な終わり方だと思ったわ。
それに、いくら虐待を受けていた可哀想な子供だからといってネットの世界で何をやっても許されるというものでもない。荒らしを排除するのは当然の事なのに、何か竜が可哀想!運営側が悪い奴!って描き方はあまりに短絡的かと。あと、虐待している父親にも何か理由があるはずだが、全く触れられないというのもしっくり来なかった。

あと、「サマーウォーズ」でも同じ事を思ったんだけど、何か仮想世界で物理的に暴れている人が居て、それを運営側が追いかけるというのが定番みたいだけど、そもそもの話、プログラムの世界なんだからいくらでも対策は出来るよね。他の人を攻撃出来ない設定にすればいいだけの話なのでは?
ヴレアさん [映画館(邦画)] 2点(2021-07-16 23:27:49)(良:3票)
51.《ネタバレ》 水曜日。平日1200円の映画館で観て来ました。
ニュース映像でカンヌの観客が言った「これまでの細田作品で一番完成度が高かった。」その感想は本当か?確かめに・・・
 
テレビの所さんの番組でやってた密着取材を事前に見たためか、バーチャル空間の凄いCGも想像の範囲内で驚きには至らず。やぱり事前に情報入れちゃいかん!と反省。

さて、「これまでの細田作品で一番完成度が高い」に関しては、残念!“否”でした。
理由は、物語りを複雑に(=幾つかのテーマを並列に)描いたため、共感するポイントが分散していること。
主人公すずや、彼女を取り巻く人たちの人格、相互のつながり方が過去の細田作品の焼き直しに見えたこと。
一番の問題は、物語の展開に無理を感じたことでしょう。
 
以下は【ネタバレ】を含みます。
 
家族の不幸で自閉的になる → 親友が実は名家の電脳少女!
→ たまたま作ったアバターが電脳世界一の歌姫になった!
→ 誰も見つけられない破壊者の隠れ家へ潜入!
→ その正体を突き止めた!
→ その結果、現実世界でDV親から子供を救った!しかもたった一人で!
それと同時に、現実では自分自身と学園のマドンナの恋を成就させている。
悩み多きJKヒロインなのに、いくら何でもスーパー大活躍過ぎるでしょうよ(笑)
 
周囲の助けを借りて、がんばって電脳世界で歌姫になり、現実の苦しみに希望を与えるコンサートをする。
現実では「のど自慢」に出て鐘2つ。それで充分感動できるのに・・・
 
DVから子供を救う展開も、現代的なテーマを入れたのでしょうが無理やりな感じ。
警察に保護させなさい!証拠映像あるし、警察の方が現着も速い、下手すりゃ刺されちゃうぞ。
トラウマを打ち破るイニシエーションとして、クレヨンしんちゃん「おとな帝国の逆襲」の階段登りと同じ演出なのでしょうが、電脳歌姫になった時点で、彼女はトップ・ユーチューバー以上の「世界を変える力」を得ている訳だから、そこは「歌の力」で暴力を打ち破らないと一貫性がなくなる。ベルが歌うシーンには感動させられたから、すずの歌こそ映画の中心にするべき。
《電脳世界の歌の力》で現実を救う話だったら、「サマーウォーズ」のAIの暴走を《現実の家族の力》で止める話と対(つい)を成して『細田守電脳二部作!』になったんじゃない!?て思ってしまう。
 
映像のクオリティは高いし、電脳世界で歌うシーンには感動する。嫌いじゃないけど、物語が散漫だったという感想です。
※作る側の視点でしか映画を語れない、理屈っぽい嫌なオトナの感想(笑)このアニメが大好きな人ゴメンなさいね。
墨石亜乱さん [映画館(邦画)] 6点(2021-10-31 18:39:06)(良:2票)
50.《ネタバレ》 仕事や旅行で何度か訪れた事のある高知県。大好きな場所。
都市部は駅前や市中心のわずかな地域で、東西に長い地形は北方に10分も車を走らせると緑豊かで長閑な風景となる。
広大な海も魅力的な高知だが、この映画の風景は川が主役。都市部を流れる鏡川、山間部へ上り沈下橋のある風景は仁淀川。
その美しい川々と、高いビルの無い高知の都市部(それだけに空が広く、雲の美しさが際立つ)が現実世界の舞台となる。
この土地に暮らす高校生達の都会願望が描かれていないのは、細田ワールドならでは。方言や訛りが無いのも現代っぽい。
監督の田舎への憧れと望郷の念が強く感じられ、そこは新海監督の作品との対比としても面白い。
一方でネットの中の仮想空間「U」。煌びやかで自由で果てしなく可能性のある理想空間。
ここの描写は「サマーウォーズ」よりもやや現実的に描かれており、いかにも近々に実現しそうな世界観。色彩と光の表現が見事。
Belleの歌唱シーンはそこだけMVとして切り取ってみても、おそらく超絶に高品質。
またこの空間で「サマー…」同様ネット空間を回遊するクジラは土佐の海の象徴であったのか、悠々として圧巻。

ストーリーにおいては、土佐っ娘の鈴が一人で深夜バスに乗って遠方に出かける決意をしても、
しのぶくんをはじめ、親友達、おば様達の誰もがそれを止めも、ついて行こうともしない不思議とか、
その先東京の多摩川近くの住宅街に迷いもせずにあっけなく鈴がたどり着いてしまうシチュエーションとか、
DVされていたこどもとタイミング良く外で出くわす偶然とか、
そのこどもを庇う鈴にDV親父が上げた拳を下せなくなってしまった理由とか、
そもそも素敵なおば様たちと鈴とのなれそめとか、深堀すれば劇的であろう多くの場面の解釈を
細田監督が鑑賞者に丸投げし過ぎている点には大いに違和感を持つ。
しかし、鈴を取り巻く高校生達の可愛らしい関係性、地方都市へのリスペクト、
そして何よりも作品の持つ高揚感、映像の奥深さと美しさが、そんな違和感すら凌駕して、
鑑賞後の爽快感と充実感に繋げる。
コロナ禍で旅行もままならない現状、細田監督はネットではなく映画でひと夏の素敵な経験をプレゼントしてくれた。
こたさん [映画館(邦画)] 7点(2021-08-10 08:47:24)(良:2票)
49.終幕後、何とも言えない神妙な面持ちを作らずにはいられなかった。
駄作だとは思わないし、エンターテイメントとしての複合的な意味合いでの華やかさと、エモーションを持つアニメーションだったとは思う。
だが、同時に、アニメ映画として誠実な傑作かと言うと、そうではないなと思う。
非常にアンバランスで、その不安定さが、とても下卑たものに見える瞬間も少なくはなかった。

主人公のアバター名が「ベル」であることをはじめ、ディズニー映画「美女と野獣」へのオマージュが多い映画だなとは序盤から感じたが、ストーリー展開を追うにつれその要素が大きくなり、オマージュというよりも、新しい解釈と新しいアニメーション表現を携えた“細田守版リメイク”、いうなれば「新世紀 美女と野獣」という趣向が強かったと思う。

圧倒的なビジュアルと音楽の融合によるイマジネーションの渦のようなアニメーション表現は圧倒的であり、独創性に溢れていた。
だが、あまりにも「美女と野獣」要素が強く、その独創性がイコール“オリジナリティ”の創出だったかと言われると、個人的には少々疑問が残った。

そういった超有名作との類似性も含めて、ストーリーそのものにおける“新しさ”はほぼ皆無だったのではないかと思える。
女子高生の主人公が抱える喪失と痛み、出会いと再生のプロセスは、極めてオーソドックスだったと言えよう。
そして、それを描いた現実世界の描写は、インターネット上の仮想世界の華やかさに対して、きっぱりと「地味」だった。

だがしかし、その「地味」な現実世界の描写こそが、このアニメ映画においては白眉のポイントだったとも思える。
少女の抱える傷心と、普遍的な心の機微が、高知県の田舎を舞台にしたアニメーションの中で、繊細にきっちりと描かれていた。
むしろ、それに対して派手で、壮大で、イマジネーションに溢れているはずの仮想世界の描写の方が、何だか既視感を覚え、面白みを感じづらかったと言える。
そういう意味では、田舎に住む女子高生の、地味でノスタルジックで瑞々しい現実世界の生活描写をもっと長く丁寧に描き出していてくれたなら、今作に対する印象はもっと変わったと思う。


そして、この映画における最大の“難点”は、やはり、最終的な決着の付け方だろう。
「児童虐待」という非常に重く切実な現実社会の闇を取り上げているにも関わらず、ストーリーの帰着があまりにも浅く、おざなりだったのではないか。
主人公のまるで合理的でない無鉄砲な自己犠牲的行動にも納得がいかないし、周囲の「大人」とされる人たちの存在の空虚さと無責任さにも不快感を覚えた。
実際に、同じような環境下、もしくはもっと劣悪な状況の中で虐待を受けてしまっている子どもたちは世界中に存在するわけで、それを主人公の“ファンタジー”的な言動であたかも解決したように見せてしまうことは、配慮に欠けるし、不誠実に見えて仕方がなかった。
もちろん、そういう題材を扱っている以上、製作者側にそんな適当な気持ちは無かったのだろうけれど、やはり誤解を生じてしまう描き方であったことは否めないし、根本的な作劇の軽薄さが露呈しまっていると思う。


前述している通り、大部分においてエモーショナルな映画ではあった。
インターネットの仮想世界におけるイマジネーションも、現実社会の風景を描いたノスタルジックも、秀逸なアニメーションで描き出すに相応しいものだった。
しかし、細田守という、いまやこの国を代表するアニメーション監督の作品である以上、主題となるストーリーの不誠実さや軽薄さは致命的であり、看過できるものではない。
商業的に巨大になってしまったブランドは、往々にして誠実な視点を見失いがちだ。細田守監督には、今一度、クリエイターとしてのエゴイズムを突き詰めて、唯一無二の作品作りに挑んでほしいなと思う。
鉄腕麗人さん [映画館(邦画)] 5点(2021-07-17 18:29:52)(良:2票)
48.《ネタバレ》 仮想空間と田舎を対比させているのは「サマーウォーズ」の系列作に見える。仮想空間には警察がいないそうだが、どうせ運営側が直接統制をかけるだろうがと思えばそういうことでもなく、これはいわゆるweb3.0か何かで誰にも支配されない世界が実現しているという設定か。50億の集合意識で本当に価値あるものが自ずと見出されていくという都合のいい展開は、監督が基本的なところでインターネット空間の発展に期待を寄せているという意味かも知れない。
また本物の顔を見せてこそ信頼が生まれるという考え方はわからなくはない。本人似のアバターを提案する方式も人格的なつながりを持たせる意図のようで、またSNSと紐づけ可能という設定からも、完全に別人格になれるメタバースというよりは実名登録で写真付きというフェイスブックの原点を忘れるなというようでもある。「新しい人生を始めよう」という言葉は、新たに見出された可能性を仮想空間内で完結させず、現実世界に持ち帰った上で新しい人生を自分で作っていけという意味かと思った。仮想空間の映像表現を売りにしながらも、「サマーウォーズ」と同様に現実世界とのつながりを意識していたようではある。

ところで素人が水難救助をしようとすると、結果として助けようとした方が亡くなってしまうことが現実に多い気がする。そういう時は無理せず公的機関に通報する一方、自分は安全な場所から助ける努力をするのが適切だろうが、しかしそれでも主人公の母が自分で助けに行ったのは、理性的判断というよりそうせずに済ませられない性のようなものがあったのか。まさにその点を主人公が受け継いだのだとすれば、そういう理屈抜きの衝動にそのまま共感できるかどうかがこの映画の評価を分けるかも知れない。主人公の方は今回たまたまいい結果を出せたということらしい。
全体的にみて、作り手側の思い優先で現実性度外視のところが多いのは作家性の強さと取るべきか。またそれとは別に、映像で観客の感情を動かす力を持った映画だとは思った。点数は作中の"半分が批判、半分が評価"というのを一人分の数字に反映させておく。

なお今回は少女の大泣きは控え目だった。主人公は「こんなに普通の子だったなんて」と言われていたが、普通未満と思われなくてよかったともいえる。仮想空間はとても人とは思えない連中だらけで、主人公がちゃんと歌姫の姿をしていたのはかえって特異なようでもあった。
かっぱ堰さん [インターネット(邦画)] 5点(2023-02-25 09:16:26)(良:1票)
47.《ネタバレ》 世界中のほとんどの人が利用しているというネット上の仮想現実空間「U(ユー)」。そこである日、その唯一無二の歌声で新世代の歌姫として人気を博してしまった平凡な女子高生すずの恋と冒険を独創的な映像で描いたアニメーション。監督は、昔から僕とはどうにも相性の良くない細田守。と言う訳で、自分は全然観る気はなかったのですが、何故か海外でそこそこ評判がいいのと今回地上波でノーカット放送されると言うことで、「まぁただで観れるならいいか」と今回鑑賞。ただで観ておいてこんなこと言うのもなんですが、正直さっぱり面白くなかったです。映像はとてもシャープでポップで充分に洗練されていて劇中歌もそこそこ耳に残るし、このきれいな映像に引っ張られて最後まで観ましたが、肝心の脚本の方はかなり独りよがりでつまらない。監督の頭の中だけで成立しているのだろうストーリーがひたすら強引に展開してゆくので、観客は最後まで置いてけぼりを喰らったような感じになります。主人公のお母さんが亡くなるシーンも具体的な状況が全く分からないので説得力が欠片も感じられない(子供が溺れてるのに、周りの大人たちがボーッと見てるだけってさすがに不自然すぎるでしょ!)。伏線もなにもあったもんじゃない竜の正体なんて、「は、なにそれ?」ってもはや頭ポカーン状態。あと、好きな男の子に見つめられて顔が真っ赤になる女の子という、昭和のおっさんが妄想しそうなステレオタイプな女子高生とか見ていて痛々しいので止めていただきたい。まあ映像と音楽はそこそこ良かったのでギリ5点。
かたゆきさん [地上波(邦画)] 5点(2022-10-03 05:36:48)(良:1票)
46.叩き上げのアニメーターにして、監督の名前で集客出来るポジションにいる細田守監督ですが、やはり毎度々話の内容が薄くて浅いですね・・・
私自身には理解できませんが、細田氏の作品は大衆を引き付けるパワーがあるのは違いないと思いますので、監督本人が原作や脚本に関わらない方がもっと高い評価が得られるのではないでしょうか?
J.J.フォーラムさん [地上波(邦画)] 3点(2022-09-26 15:02:47)(良:1票)
45.《ネタバレ》 アバターのキャラに拒絶反応。 赤毛のアンに近いかな。 見開いた目は苦手です。
で、「50億人が感動した歌声」て、大風呂敷どころじゃない。 歌唱力の欠片もない。
こんな鼻歌みたいなのに世界中が虜になるわけがない。
ストーリーが、アホ過ぎて、再生何度も止めては深呼吸、心臓にも悪い毒映画。
とにかく、見てて辛くて、怒りが込み上げて、鳥肌すら立ってくる。
この最低のセンスはどこから来たのか。 監督のセンスだけの問題?
リアル世界のシーンも、どーも間が悪い。 意味のない数秒があちこちにある。
編集のセンスも低下してきた。
絵はキレイなので、もったいない。努力した作画スタッフが気の毒でしょうがないです。
音楽家をアニメで扱うのは、難易度高いのよ。ディズニーでさえ苦戦してるのに
50億人が惚れるとか、どれだけハードル上げたのかを理解できなかったのが敗因。
グルコサミンSさん [地上波(邦画)] 2点(2022-09-26 00:32:33)(良:1票)
44.《ネタバレ》 困りましたねえ(笑)。つい、スピルバーグの「レディ・プレイヤー」を思い出してしまいました。設定は面白いし、映像表現も素晴らしいのだけど、物語が致命的につまらない!
何故つまらないかといえば、思想が浅いからですね。この設定から起こりうる物語の可能性を、突き詰めて極限的に構想することができていない。だから、どんなに設定だけをバージョンアップしても、結局のところ幼稚で陳腐な物語にしかならない。そういうところが、悪い意味でスピルバーグと同じなのです。映画を作りたい気持ちが先走ってるだけで、これといって描くべき内容をもっていない。それが毎度毎度露呈してしまう。
映像はほんとうに素晴らしいし、音楽もほんとうに素晴らしいし、(設定上の疑問は数多くあるものの、そんな疑問点も含めて)展開には変な面白さもある。これまでの細田作品のなかでは、これが最良だという気持ちもあります。ただただ、核となる物語だけがつまらなくて底が浅いのが悲しい。
きっと同じ題材を使ってもっと突き詰めた世界を構想できるクリエイターはいると思いますので、とりあえずこの題材を提示したことと映像表現を極めたことだけを評価して8点を献上します。
まいかさん [地上波(邦画)] 8点(2022-09-24 00:18:13)(良:1票)
43.《ネタバレ》 ラッパーで映画評論家の宇多丸師匠がかつて、「映画の作中で現実離れした秀逸な歌を扱うとき、大多数の視聴者を納得、感動させる力をもつ歌を現実に作り出さねばならず、それは相当難しい」と言っていたのを思い出した。
そういう意味では、中村佳穂さんの歌は、堂々とその難問をクリアしているように思う。よく通る透き通った声と響き渡る声量、リズミカルで情感豊かな歌唱力にほれぼれしてしまった。
佳穂さんこそ、ベルの声を当てながら、Uの世界を実体験し満喫されていたのではないかと思う。

「U」と「竜」、「ベル」と「鈴」。ネーミングにセンスが感じられて、面白そうと思ったけれど、ストーリーには残念ながら引き込まれなかった。
私がこの作品に対して、ものすごくもったいないと思ったのは、日本最後の清流、四万十川をはじめとする美しい自然と、ベルの歌声が、なんら呼応するように作られていないこと。
呼応しているのは、デジタル処理されたきらきら光る文字だったり、紙吹雪もどきのデコレーションだったりで、それはそれで美しいんだけれど、
これらが「命としての生」を表現しているかというと、死生には縁のないアイテムだから美醜のサイクルをなんら持たず、結局還元されることのない一方通行の美でしかない。
ベルには、スピーカーを満載した仮想クジラのステージから降りて、本物の風が吹く清流をバックに、アカペラで歌ってほしかった。
そうすれば、印象的な対比として心に沁みた演出になったのではないかと思う。
(何十年も昔、胃薬「サクロン」のCMで、爽やかな緑の木々と清流の映像下でシンガーソングライターの谷山浩子が「風になれ ~みどりのために」を歌っていたのを懐かしく思い出した。ちょうどあんな感じのテイストになったと思う)
もっと欲を言えば、高知県出身のキャラたちは現地の方言で喋ってほしかった。そうすれば、関東在住のキャラや仮想空間上の差別化がはっきり出る。
たとえば、同じすずでも『この世界の片隅に』の彼女は広島弁を喋り、土地柄がキャラの中に沁み込んでいてリアルな存在感があるのに対して、この作品の主人公は、まるで都会から田舎に移り住んできたような脆弱さ、よそよそしさがある。
スマホの小さな画面ばかりに視線を落としている彼女には、顔をあげて風光明媚な故郷を眺めるシーンがほとんど出てこない。
この透き通った声がデジタル機器に慣れ親しんで成長してきたものだとしたら、感動は大いに半減してしまうし、そもそも何のための自然描写なのだろう?

「現実はやり直せない。しかし、Uならやり直せる」

という冒頭の言葉に問いたい。やり直せるって、いつまで? 永遠に?
実態(当人)は現実世界にいるのだから、どうしたって引きずられる。Uの弱点はそこ。完全に切り離して意識だけを仮想空間に存在させることは不可能。
そこを、四万十川を絡めて突けばよかった。死を招いた川から始まり、命の再生の川で終われば非常にストレートで、観客の集中力もあちこち振り回されずにすんだろう。
『美女と野獣』を踏襲するために、竜をむりやり話にねじこんだ印象がぬぐえない。
こんな竜、必要だった?
tonyさん [インターネット(邦画)] 6点(2022-08-09 22:28:21)(良:1票)
42.絵は綺麗で好きでした。現実もUの世界も。
ストーリーも悪くない。キャラクターも歌も素敵。
ララライララライなんて盛り上がっちゃうし!大好きな獣キャラも!
でも、うーん、、、編集?脚本?

お?いつの間に?? ヒロちゃんが名プロデューサーって事で、、?
え?なんで?? 一目惚れっつーやつかな?惚れでもないんか?
お、おう、、、で? その後あの人らはどうなったの??

急ぎ足?そんな感じでした。感情移入する前に終わってしまった。
ただ今回は声優さんの違和感は無かったです。
特にヒロちゃん役はエンドロール見るまでプロの人かと思っていました。
movie海馬さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2022-05-31 02:09:16)(笑:1票)
41.《ネタバレ》 まずはじめにハテナ?と思ったこと。

スマフォのアプリゲームであそこまで出来るか?仮想空間としてもあそこまでリアルに動いたり感情をダイレクトに伝達できるか?それと登録者数50億って約世界の半数じゃん!ありえないって。まあじゃあそれを容認したとしてもだ、その50億の中で才能ある人物なんてそれこそ沢山いるわけで、その中でたった一人主人公のすずが注目浴びるってなんかもう狭い世界にしか感じられない。で、そのすず=ベルと運命的な出会いをする竜。その竜の正体が同じ日本人って...どんだけの確率だよ!でその竜にしてもだ!虐待からのストレスの権化なのかもしれないが、いやいや待って、50億でしょ!50億の中で同じような目に遭ってる人たちどんだけよ!ストレスに押しつぶされそうな人たちどんだけよ!なんで竜だけなのって話。だからさ、50億て数字がこの作品にあまりにも負荷を掛けすぎちゃってると思うんですよ。もっと他にやりようなかったのかな。

とここまではハテナ?ツッコミを入れるところをあげましたが、ここからはめっちゃ良かった点をあげたいと思います。

圧倒的に絵が綺麗!その美しい色彩の世界にただただ酔いしれた。主人公すずを演じた中村佳穂さん。シンガーソングライターである彼女にとって今回が声優初挑戦。決して上手いというわけではないけれど、29という年齢なのに思春期の少女らしさが醸し出されていて、なかなか味わいがあって良かった。歌声も透き通っていてこの作品にピッタリはまってた。登場するキャラのキャラ作りがほどほどなのがよい。必要以上に細かな設定付を押し付けられないから、脇役のキャラとメインキャラとの住み分けがくっきりしていてとても見やすい。飼い犬の足のことや、欠けたマグカップもセリなどで説明しないのも良かった。

総評すると随分と大風呂敷を広げたもんだと思うけれど、それを踏まえた上でもこの一人の少女の成長物語は、なかなかどうして、十二分に共感できる物語だった。問題提示に対する明確な答えはなかったけれど、あれはあれで良いと思う。例えばだけれど、虐待を受けてたけいくんの一家がその後もっと悲劇な方向にいってしまったとしたら。もしもすずがその後ネット上で叩かれまくったら。リアルに考えるとその方がありかもしれない。でもそれを見たいかって。すずやけいくんは今回の件で強く生きると決めたんだから、その後の彼らについての物語は、描かなくて正解だと。それとすずが竜のことを気になったのも、なんとなく、これしかないでしょ。人が人を気になるのってなんとなくじゃん。

6点はちょっと甘めに付けましたが、自分に酔いしれる芸術作品でもなく、かといって媚を売るような大衆娯楽でもない、細田監督なりの挑戦とアニメ映画に対する愛情を感じ取れたのでこの点数にしました。
Dream kerokeroさん [ブルーレイ(邦画)] 6点(2022-04-20 07:57:27)(良:1票)
40.《ネタバレ》 描き出したいモノ(それは概念的なものにせよ、実際のお話の筋書き・ゴールにせよ、或いは『美女と野獣』を下敷きに置いているコトにせよ)が結構たくさん在る様に見えて、一方でそれらをシナリオ上で組み立ててつくり込んだキャラで紡いでゆく・有機的に結び付けてゆく、という運び方の面は、率直にあまり上手くなかったという様に感じました。端的に言えば盛り込み過ぎです。しかし、そーならじゃあ何処かを削るか、という取捨選択のチョイスがあったかとゆーとそれも若干微妙に思います(取り立ててココがダメ!と一言で言えるような単純な問題でもないかと)。脚本にはヘルプを入れたら、とも思いますが、これも単純にテクニックだけが問題になっているというコトでもない様な気もしており、ちょっと悩ましいトコロですね。

ただ、私自身は例えばすずちゃんのお話、自分自身が何者であるのかをこの世界の中で探し出し、確かにその自分で在り続けること、の重要性を説く部分などには、かなり高度に共感・感動できたのですよね。それは、実際に人と人との繋がりや自己のアイデンティティが仮想化しつつある現代社会においては確実に「真に大切なコト」であるのだろう、とも思いましたし。或いは映像表現や音楽性といった面も相当に出来が好かったのは確かかと思います。盛大に足したり引いたりして捻り出した評点、という感じですね(やや低めに付いた気もしますが)。
Yuki2Invyさん [映画館(邦画)] 7点(2021-07-23 13:05:26)(良:1票)
39.《ネタバレ》 だいぶ前に特報を観ただけで記憶から消えており、冒頭の説明で「また仮想現実の世界か」と思いましたが、その世界Uに堂々と現れるベル(中村佳穂)の歌姫っぷりは圧巻で「millennium parade」という音楽家集団との楽曲はどれもパワーがあった。歌が持っている力は凄いなと改めて思いました。 そのベルの正体は田舎に住む朴訥な女子高生すず。幼い頃から歌うのが大好きだった彼女は母親の事故の後から心を閉ざし気味になり人前でうまく歌えなくなってしまった。その彼女をUの世界に誘ってくれたプロデューサーで親友ヒロちゃん、幼馴染しのぶ、みんなの人気者ルカちゃん、一人カヌー部カミシン、すずを優しく見守る合唱隊のお姉様方と現実パートは良さ気な雰囲気が抜群にあった。しかし、タイトルの竜が登場しベルが追い求めだす辺りから微妙な気配になりましたね。Uの世界を荒らしまくる竜と自警団とのバトルは顔見せと状況説明として良いとして、隠れ家に入った後は『美女と野獣』の焼き直しにしか見えないシーンが多いし、すずがなぜ竜に拘るのかも分からなかったな。その竜の正体や現状を知り現実でも救いに向かうトコや顛末など全てが希薄で中途半端にしか見えず、盛り込みすぎて収集つかなくなってしまった感じ。普通にトラウマで歌えなくなった少女が自分を取り戻すまでの青春物語で良かったのにな。自分の正体を探られるのを嫌がってるのに竜を探るし、終盤はブレてしのぶに持っていかれてしまうがすずを理解し見守り背中を押す役回りはヒロちゃんに任せた方がまとまった気がするし、取って付けたような児童虐待ネタは薄っぺらいし色々と残念。『おおかみこどもの雨と雪』以降、細田は一人で脚本を担当してますが補佐や手直しをしてくれる人と組んだ方が良いと思う。 シンガーソングライターが本業で声優初挑戦だったというすず/ベル役の中村佳穂、ヒロちゃん役の幾田りらはとても上手かった。ボーカルをやってるだけあって勘が良いのでしょうかね。「有名人を使わず声優を」とよく言われてますがこういう達者な人もいるから難しいトコですね。
ロカホリさん [映画館(邦画)] 6点(2021-07-21 21:02:14)(良:1票)
38.《ネタバレ》  ディズニーアニメーション版『美女と野獣』をベースに細田監督の少ない引き出しを総動員して創られた名作、といった感じね(一応誉めてる)。それしかないんかい、っていう細田監督毎度の記号で埋め尽くされていて(夏空、入道雲、電脳空間、リング状データ、アバター、獣人、鯨・・・今回Y字路はあったかしら?)、でもそれを完璧とはいかないけれど感動的な物語やメッセージとして形にしてる、細田監督の集大成みたいな作品ね。あと『プロメア』少々。

 ネットとリアルの対比は人間の裏表、二面性を示していて、だけどすずの周囲は優し過ぎる気もするわ。モブなヒソヒソ系女子にその役割を与えるけれど、すずとコミュニケーションのある人間は総じて善人なのよね。細田キャラの限界ってところなのかしら?

 でもリアルとネットとで別の人格のようだったすずとベルとが1つになってゆく過程だとか、夢物語、創作としての『美女と野獣』ならば、その先のリアルは?という感じの展開だとか、結構のめり込んで見られたのね。
 それは最初からディズニー的キャラとして創造された(そもそもキャラクターデザイナーが元ディズニーの人なのだし)ベルだからこそのアタシの好みゆえ、なのかもしれないけれど。
 リアル世界のすずよりも仮想世界のベルというキャラに心惹かれていて、でも本当はアニメ映画なのだからどちらもリアルじゃないワケで、そこにリアルは無いからこそリアルについて考える事ができるとも言えて。
 幾つもの入れ子細工状態が組み込まれていて、それは見ていて楽しいわ。構成力に難アリなのでバタバタしてる感は否めないのだけど。
 お母さんに対するキモチなんかはちゃんと最後に繋がっていって良いのだけれど、お父さんやおばさま達はあまり上手く物語に対して機能できてなかったと思うし、ベルのクライマックスの後のすずのクライマックスは間延びしちゃってたわね。そのクセ結局兄弟をどうしたのか、身バレしたベルとすずの世界での扱いはどうなったのかはスルーしちゃってるし(そこに時間をかけたら更なる間延びになったでしょうけれど)。
 あれこれと詰め込み過ぎてる感はあって、もう少し余白があっても良かったかな。

 あと細田監督は女性を主役にしつつ、女は男を理解しろ、って視点が毎度見られて、今回もそこから抜け出せてはいないので、そこはアップデートして頂きたいわ。

 でも今回はアニメの持つ美しさとか快感とか堪能できたので悪くないわ。良かったわ。いつもはワリと細田監督作品にキビシめなんだけど。
あにやん‍🌈さん [映画館(邦画)] 7点(2021-07-16 22:07:18)(良:1票)
37.《ネタバレ》 細田守監督が「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」、「サマーウォーズ」に続いて手掛けたネットをテーマにした映画で、登場する仮想空間である〈U〉は「サマーウォーズ」のオズに比べてより現実的であり、悪意あるネット上の書き込みにもリアリティがあるなど、先の2本とは対照的な印象を受けるのだが、なんか見ていてこの20年で細田監督のネットに対する考え方が変わってしまったのかなと思えてきて、そこは少々残念に思う。本作は現実世界では過去のトラウマから暗く、父との関係もうまくいっていない主人公であるすずが〈U〉の世界で歌姫になるという設定だが、歌うシーン自体はすずの声優をつとめるのが歌手ということもあってとても素晴らしかったものの、物語上ですずが実は〈U〉の世界でトップクラスの人気を誇るまでになるほど上手かったというのはイマイチ説得力に欠け、はっきり言って細田監督が演者の歌唱力に頼っているようにしか見えない。竜が出てきてからは「美女と野獣」っぽいなと思っていたら、そもそも本作のコンセプトが仮想空間を舞台にした「美女と野獣」だったとのことでちょっと納得するも、どこかで見覚えのあるような城のダンスホールでベルと竜が踊るシーンがあまりにもそのままとかの部分はさすがに気になり、「美女と野獣」好きなのは分かるけど、もう少し控えめにやってほしかった。(主人公の名前がすずで、〈U〉での主人公のアバターの名前がベルというのもそうと分かればあまりにも安直に感じる。)すずのしのぶくんに対する恋心や、恵の父親による我が子への児童虐待も描かれているが、それを描いたことでちょっと話が散漫になってしまった印象は拭えず、詰め込み過ぎた感じがしたし、必要とは分かるのだが、すずが〈U〉の世界で素顔を晒して歌うシーンでクライマックスを迎えてしまい、その後にすずが東京に行く件がちょっと蛇足に感じられた。ところで、すずの母親の声は島本須美が演じているが、だったら父親の声は役所広司ではなく、糸井重里でも良かったのではと見終わって思ってしまった。
イニシャルKさん [DVD(邦画)] 5点(2024-01-28 18:13:18)
36.《ネタバレ》 サマーウォーズのオズの世界をより現実に近くした版+美女と野獣。
ちょっと、悪い点が目立ってしまったというか、悪い点に目が行ってしまった。

■美女と野獣要素
 主人公のアバターの名前が美女と野獣の主人公のベル、正体を知られないように城に閉じこもる竜=野獣、美女と野獣で言うルミエールらのような主人に従える従者たち、城のエントランスやダンスホールはそのまんま、ダンスホールでダンスする様がそのまんま、ベルの見た目がディズニー調のクリッとした目と厚い唇、竜=野獣のベルへの咆哮、竜=野獣がベルを守る描写、ベル&竜=野獣&ガストンの存在、時に物怖じせず積極的なベル、徐々に打ち解けていく様子。

 これらは全て前半半分に詰め込まれているが、そのまんますぎる。
 美女と野獣リスペクトなのは見ればわかるけれど、「美女と野獣のこの点が好きだから強引にそれを入れ込んで繋げた」感がすごく、全然入り込めないというか、不自然。
 無理に美女と野獣のベルのキャラクターに合わせようとしたもんだから、現実世界ではめっちゃ控えめな主人公が突然美女と野獣のベルに近い性格になり、特段の深い理由なくトントン拍子で竜と心を通わせた、と見える。
 そのため前半の山場であろうミュージカルっぽいシーンに全然入り込めず、ポカーンとしてしまった。
 無理に美女と野獣要素を入れる必要が全くなかったように感じる。

■悪意描写
 サマーウォーズのオズの世界にいる人々は「ネット空間だが現実のSNS等よりも良心的」という感じで、それ故にアニメ的であり、不快な描写は特に見られなかった。
 しかし本作の登場人物は非常に現代的(2023年現在)でリアルであり、人を妬んで悪意ある表現をしたり、ネット上で自分を偽ろうとしたり、「叩き」だったり、といった現実のネット社会でよく見る不快な要素がそのまんま詰め込まれている。
 そのため、「なんでアニメ映画を見ている中でも不快にさせられなきゃならんのか」という感想を抱く。

 その人物の情報を知るために瞳に反射した映像を拾ったり窓の外の居場所から場所を割り出したり、いわゆる「特定」をそのまんまやっている。アバターが解除されて現実世界の本人が露になるというのは「晒し」であり、いや闇深すぎだろ何があったんだよ、と思った。

■キャラクター設定
 サマーウォーズの主人公は数学オリンピックで2位だったという実績があり、電車の中で誕生日の曜日を即座に計算するなどの「普通とは違う」という特徴を見せ、それがあるから世界でごくわずかな人しか解けなかったオズの暗号を解いた、というのは理解できるし流れとして納得できる。
 一方で本作の主人公の特徴は「歌」であるが、「歌が好きだった」という描写は僅かになされるものの、「なぜ世界トップレベルに歌が上手いのか」という理屈付けがない。しかも歌という主観的というか感覚的なものであるため、いかに本人の潜在能力を引き出すシステムといっても、「いやそのレベルなら世界にゴロゴロいるやろ」と思ってしまう。
 指標が客観的でないため、イマイチ凄さがわからず、それ故納得感が薄い。

以上が主たる点で、特に前半の無理矢理感がすごく、個人的にあんまり・・・という感想となりました。
53羽の孔雀さん [インターネット(邦画)] 4点(2023-11-01 01:06:38)
35.高知だから鰹のタタキってすごく安直じゃないですか?この映画のコンセプトはインターネットの世界で美女と野獣をやることらしいのですが、そもそも何のためにこのコンセプトを採用したのかが意味不明です。身も蓋もないことを言えば売れるためなんでしょうけど。細田守監督って実は昔インターネットを好きだった思い出に執着しているだけで今のインターネットのことは嫌いなんじゃないでしょうか?この作品を見ていてもインターネットの悪さばかり伝わってきます。新海誠監督の方がインターネットの良さを自身の作家のテーマとしても的確に表現できています、遠く離れた誰かとも繋がれることだと。自分は世界で唯一インターネットを肯定してきた作家であると自負しているようですがそれすらも怪しいです。文句ばかり出てくる映画ですが、細田守監督の作品では最も深刻で真剣な物語になっているのはいいと思いますね。あともう一歩踏み込んだテーマを扱えれば本当の傑作をものにできるかもしれません、逆に底が割れる可能性もありますが。美術やキャラクターデザインが日本アニメの枠を超えたものを志向しているのも好印象です、まあパクリと言えなくもないですけど(笑)。
Сакурай Тосиоさん [DVD(邦画)] 6点(2023-04-30 21:49:38)
34.《ネタバレ》 ミステリーとラブコメとライブシーン、さらに児童虐待や主人公のトラウマなど様々なテーマが散りばめられているが、それぞれが相乗効果を上げていない。追わなければならない話が多すぎる上に、話がぶつ切りなのだ。だからクライマックスを迎える頃には竜の正体なんてどうでもよくなってるし、主人公がかつての母親の自己犠牲の精神を悟っても「そんな設定あったなあ」と感動ポイントを流さざるを得なかった。それと、今回の脚本、ネットの住人に対して偏見が過ぎないか。例えば主人公の母親に対して、我が子を遺したとはいえ、身を挺して見ず知らずの子を救出したことにあそこまで心のない意見で溢れかえるのは不自然な気がする。唯一よかったのは吹奏楽の子とカヌーの男子が駅で鉢合わせてお互いもじもじするシーン。ああいうの一本で話作ってくれればいいと思うんですよ。
Jar_harmonyさん [インターネット(邦画)] 4点(2022-12-09 17:19:47)
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【点数情報】

Review人数 53人
平均点数 5.30点
000.00%
100.00%
247.55%
3713.21%
4611.32%
51018.87%
61120.75%
71018.87%
847.55%
900.00%
1011.89%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.80点 Review5人
2 ストーリー評価 5.42点 Review7人
3 鑑賞後の後味 6.14点 Review7人
4 音楽評価 7.66点 Review6人
5 感泣評価 6.00点 Review4人
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