4.《ネタバレ》 「夜の人々」か「孤独な場所で」か。
ニコラス・レイの最高傑作として名高いフィルム・ノワール。
レイの描く人間は、常に内側で暴力を爆発させ痛々しいまでに自分を追いつめる人物描写が多い。
ジェームズ・ディーンを主役にした「理由なき反抗」が良い例で、主人公は元より、主人公の親友までもが内側に向かう暴力によって自分を傷つけてしまう。
「孤独な場所で」は、一度怒りだすと己を抑えられない暴力的な脚本家を主人公にしている。
一度は主人公を愛した女も、やがて彼の暴力性に怯え始める。
愛が恐怖や怒りに変わる時、殺人容疑の真相が明らかにされ、新たな事件が生まれてしまう。
終始何かに突き動かされて苛立つ様子は、何かに怯えるように不安定でじっとしていられない。
まるでルイス・ブニュエルの「エル」のように、精神を病んでいるような様子さえある。恐ろしい映画だった。