7.《ネタバレ》 まずは主演女優のモニカ・ヴィッティが美しすぎた・・・
ただただ、美しいのだ。
とにかく美しいのだ。
ため息が出るほどに。
モニカ・ヴィッティが出演している作品の中でも、この作品の彼女が最も魅力的だ。
そして音楽もまた素晴らしい。
これはフスコという人の影響らしい。
アントニオーニの演出する「乾いた都会の風景」。
この作品でも魅力全開だ。
奇妙な建造物、殺伐とした道路、主人公の女性が住むマンションのエントランス・・・などなど、とにかく徹底してその無味乾燥さが描かれているのだが、これがまた病みつきになるかっこよさ。
寂しい風景なのに、何故か自分もそこに身を置いてみたくなるような気持ちになる。
とにかく映像がシャープで、容赦なく無機質で、かっこいい。
あと、アントニオーニの作品を観ていていつも思うけど、背後に雑然と流れ続ける「騒音」がなんとも印象的だ。
もしくは風の吹く音とかが。
どれも心地の良い類いの音じゃないのに、何故か聞き入ってしまう。
私は病気なのか?!
そんな風に自分のことを思ってしまうくらい、惹きつけられてしまうのだ。
都会に流れる何気ない「音」を、アントニオーニは誇張して流している。
だけど何気ないその音が、何かを訴えているような気もする。
しかし、それが何を意味するのか、私には分からない。
が、何故だか異常なくらいに魅力を感じ、惹きつけられるのである。
それにしても、ラストの辺りで繰り返し出てくる横断歩道の風景だが、つくづく印象的だ。
アラン・ドロンがモニカ・ヴィッティに、「向こう側に着いたらキスをする」って言ったシーンとか。
横断歩道を渡って二人は別れて、モニカ・ヴィッティが振り返ると、もうそこにはアラン・ドロンの姿がない・・・っていうシーンとか。
横断歩道辺りの荒涼たるアスファルトとか。
あまりに印象的で、かっこよすぎて、寂寥感があって・・・
この映画を観た私(観客)が、観た後にこんなになるのをアントニオーニは計算してこの映画を撮ったのだろうか?
そこまで計算してアントニオーニがこの映画を撮っていたとしたら・・・
もしそうだとしたら、ミケランジェロ・アントニオーニという監督は、恐るべき監督だと思う。