2.《ネタバレ》 バラック小屋が立ち並ぶ臨海地帯に目をつけ、住民たちを立ち退かせようと狙う経済ヤクザ。その地上げというヤな仕事を任されてしまうのが、菅原文太演じる弱小組の組長で、板挟みとなる彼の苦悩が描かれる訳ですが。
彼の右腕とも言うべき待田京介(親がバラック街に住んでおり、さらに板挟みに)、あくどいライバル組組長に渡辺文雄、と、これだけでも充分に役者がそろっているようにも思うのですが、さらに文太の幼馴染みの梅宮辰夫、文太の兄貴分の鶴田浩二、バラック街にふらりとやってきたプロレタリアートの仙人みたいな長門勇、と、何本かの映画に分けられそうなネタが贅沢に押し込まれていて、これはもう欲張り過ぎでしょう。
そこまで欲張って、多数登場させたキャラたちを、物語は、これでもかと抹殺していきます。本当に容赦がない。実録路線映画を彷彿とさせる暴力的な演出が光ります。
結局、最後にすべてを飲み込み、最後に勝つのは、「経済」という怪物、なのでした。