1.ディズニー/ピクサー最新作。日本語吹き替え版にての鑑賞である。
監督は、ダン・スキャンロン。
魔物たちが暮らす世界。かつては魔法の世界だったが、科学や技術が進化するに連れこの世界から魔法はほとんど姿を消してしまっていた。
エルフの少年イアン・ライトフットと、その兄バーリー。2人の父親ウィルデンはイアンが生まれる前に病気で死亡していた。彼はイアンの16歳の誕生日プレゼントとして、妻のローレルに魔法の杖と手紙を託していた。その手紙に記されていたのは、「死者を24時間だけ蘇らせる魔法」であった。杖を受け取ったイアンは早速呪文を唱えるが、失敗によりウィルデンの下半身のみ蘇らせてしまった。
イアンとバーリーは、タイムリミットの24時間以内にウィルデンを完全に復活させるために必要なアイテム「不死鳥の石」を手に入れるため、冒険に出るのだったが・・
イアン達の暮らす世界は現代のアメリカそのもの。ただそこに住んでいるのは人間ではなく、エルフ、キュクロプス、ミノタウルス、妖精等々の所謂「魔物」である。
ストーリーは単純明快。要するに「不死鳥の石」を手に入れるためのアドベンチャーゲーム的な内容となっている。だから、まずはお宝の場所を記した地図の入手からスタートする。地図を持っているのは、マンティコアという大きな羽根とサソリのような尾を持ったライオンの魔物である。そのマンティコアは今ではレストランを経営しているのだが、その辺りはなかなかよく出来ていて楽しめた。
お宝の地図を手に入れた2人は一路カラス山を目指す。途中、パトカーに止められたりするが、その婦人警官が同性愛者として描かれているので、国によっては本作の上映に物議を醸しているようだ。
2人は一歩一歩、お宝に近づいていくのだが、この辺りの展開はありきたりに思えた。もちろんディズニー/ピクサーの最新作なので、よく考えられており、ビジュアル的にも文句のつけようはないのだが、我々は「ドラクエ」や「FF」等のロールプレイングゲームを、主人公として散々プレイしてきているので、今更「映画」鑑賞という形でそれを追体験しても、退屈な感じがすることは仕方あるまい。
ちなみに英語版ではイアンの声は「スパイダーマン」のトム・ホランドが、バーリーの声は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のクリス・プラットがそれぞれ担当している。
さて「不死鳥の石」だが、実は意外な場所にあった。そして遂に父親を完全復活する瞬間がやってくる。ネタバレになるのでラストは書かないけど、なかなかいい余韻のエンディングであった。
ところで本作のテーマは「父と子の愛」のようでいて、実は違う。イアンとバーリーの兄弟の愛なのである。「アナ雪」が姉妹の愛を描いているのと好対照である。