2.近年に公開された邦画をほぼリアルタイムにこちらの劇場で味わえる機会はそうそうない。そんななか地下鉄でひょいと行けるIFC Centerにて公開されていたという理由だけで是枝裕和監督がどういった作品を撮ってきたのかという予備知識もないままにえいやっと行ってみた。その時には数日後別の劇場で彼の作品「ワンダフル・ライフ」にも遭遇するとは知りもせずに。
都心の高層マンションに住む経済的に恵まれた家庭というのがいかにもろいものかという面もみせてくれる。「冗談じゃないよ…」と彼の口からこぼれるような生活環境も、別の視点にたてばそちらの方がもっともっと素朴でたくましい。物質面の豊かさなんてものはすぐになくなってしまう美味しいお菓子みたいなもの、毎日を生きぬいていくための心と体の栄養にはならない。そんな考えも頭のなかで渦巻く。
ほんの数話みただけの「カーネーション」を通して知った尾野真千子、その彼女の物憂げな表情が印象に残った。前々から気になっていた『萌の朱雀』、ぜひ鑑賞してみたい。そのきっかけのひとつがリリー・フランキーの映画解説本だったという事実もツボ。
こちらの映画館での遭遇回数が多い俳優さんに夏八木勲、風吹ジュン、そして樹木希林がこの度晴れてランクイン。