11.女を相手に売春して都会で儲けようと田舎から出てきた青年。
この甘い考えは、すぐに夢と消える。
都会で待っていたものは、孤独であった。
都会に向かうバスの中で、青年はラジオに耳を傾けながら、甘い夢を見ている。
この時に流れる音楽もそれを盛り立て、観ているこちらもわくわくしてくる。
だが、都会で待っていたものは、これ以上なく辛い現実だった。
その描写があまりに現実的で、こちらも気分が滅入ってくる。
そんな孤独な都会で、一人の男と知り合い、そこに友情が生まれる。
しかし、その友人も病に倒れてしまう。
なんとも救いようのない話で、ハッピーな気持ちになれないのが難だが、肉体労働で地道に稼ぐことを決心した青年が、最後でちょっとした希望を見せてくれた。
都会を目指した青年の孤独と希望を描いた、ロードムービー的要素を併せ持つ、ほろ苦い青春ドラマの名作。