7.CIAの女性分析官マヤを主人公にした、9.11同時多発テロからビン・ラディン殺害までの10年間。
この間、アメリカにとっては公表されると都合の悪いことも色々あったのだろうと思いますが、
前半の拷問のシーンなど、アメリカ、CIAにとって都合の悪い部分も執拗に描かれています。
この10年間の長さを感じる2時間半を超える作品ですが、タイトルをつけて局面ごとに章立てすることにより
それぞれの局面ごとの緊張感があり、作品にうまくメリハリをつけています。
マヤの友人の分析官がテロで命を落として以降は、その報復、彼女の弔い合戦の様相を呈する。
ネイビーシールズの精鋭部隊がビン・ラディンの隠れ家に突入し、作戦は成功する。
しかし迎えの専用機に乗り込み、「どこへ行く?」と聞かれても何も答えられない虚ろな表情のマヤ。
アメリカ万歳どころではない。作戦は成功しましたが、その作戦成功の後味は極めて悪い。
結局は報復がさらに新たな報復の連鎖を生みだす。
その虚しさしか感じられないラストにキャスリン・ビグローが本作に込めた思いを見たような気がします。