2.グレタ・ガーウィグの、監督としての評価が一気に高まるきっかけとなった青春映画。遅ればせながら鑑賞したが、なかなか悪くない出来だった。演出、脚本、映像、どれもが高いレベルでまとまっている。物語のテンポの良さ、気の利いたセリフ回しやちょっとした伏線の使い方に、監督の優れた技量が表れている。ちょっと自意識過剰で、ちょっと痛い、でもやや陽キャラで、ブサイクではないから、それなりに人付き合いはできる17歳の女子高生の一年を、過度に美化することもせず、描き切っている。
海外では手放しで大絶賛されている本作だが、個人的にはそこまで完璧な映画か?と思う。数ある青春映画の中では秀逸な出来だが、比較的起伏の少ない物語であるため、スコーンと突き抜けるような盛り上がりはなかったように思う。
大名作というには留保をつけたいのだが、優れた映画であるのは間違いない。故郷への強い愛着が窺える、街の風景のモンタージュが印象的だった。映画内で度々繰り返されるそれらのシーンに、抑えても抑え切れない監督自身の故郷への愛を感じることができた。