4.オリジナルは「フィラデルフィア物語」。キャサリン・ヘプバーンにケイリー・グラントとジェームズ・スチュワートという強力な布陣のコメディですが、かなり台詞の多い会話劇で字幕を読むのにかなり疲れた覚えがあります。
一方こちらはミュージカル。キャストはグレース・ケリーにビング・クロスビー、フランク・シナトラにサッチモという超一流のエンターテイナーを揃えた。彼らが歌うシーンはどれも優雅で、上流社会を演出するかのように甘くスローなナンバーが中心になっていますが、バンドのメンバーとバスに揺られながらサッチモが歌う冒頭がとても楽しい。ジーン・ケリーあたりを配し、作品に動きをつけても楽しさが増したのでは、とも思いましたが、上流社会の優雅な雰囲気を演出するにはやはり本作の雰囲気が良かったのかも。
そしてグレース・ケリー。この頃には既にモナコ大公との結婚が決まっていたんですよね。絶頂期にも関わらず本作を最後に引退しモナコ公妃となり、映画ファンにとっては上流社会どころではないほど遠い所に行ってしまいました。絶頂期の美しさを出演作の中に永遠に残して。