6.前半の訓練風景が圧巻。繰り返される精神主義と気合い。体操の秩序正しさ、清らかな白い歯。おそらくそこに蔓延していただろう陰湿な面をきれいに拭い去って、純粋な結晶体を見せてくれる。その時代の理想が目の前に現われてくる。これはもう優れた「記録映画」と見ていいでしょう。もちろん映画がその時代の狂気を形作っていった罪は断罪されなければならないが、同時に後世にその精神風土を正確に(狂ったまま)記録した作業も評価したい。動じない国の母、弱気になったときに力を吹き込んでくれる先輩、厳しいが面倒見のよい諸先生。すべてそのなかでは「善し」とされるものが、集まり寄って一つの大きな狂気を形成していった。なぜアメリカと戦わねばならないのか、についての具体的な説得がまったくなく、そんなことを考えること自体気合いが入っていない証明になってしまい、この「麗しい共同体」から弾き出されてしまう恐怖があったんだろう。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-06-10 10:00:25) (良:2票) |
5.もしも当時見ていたら自分も予科練に志願したかもしれない。おそらく当時見た少年達の多くはスクリーンに映える白い軍服を見て、海兵への憧れを増幅させたことだろう。予科練の興味深い日常はもちろんのこと、当時の軍歌、「本物」のゼロ戦や赤城などを使った映像、GHQが特撮だと信じなかったハワイ・マレー沖海戦の映像まで、負け行く戦の最中であったとは思えないほどストーリーから特撮までパーフェクトに出来た戦意高揚プロパガンダ映画。気丈に息子を称える母親や姉達に時代の悲しさが見える。特撮も含めトラトラトラよりよほど面白く、トップガンの原型とすら思える。 ブッシュが悪い、共和党が悪い、ナチスは悪、ユダヤは悪、プロパガンダというものは「悪」を一方的に仕立て上げそれを叩くというスタイルが基本だが、この映画は「鬼畜米英」ではない。天皇のために、同輩のために、相手に勝つために、いかに自分を磨くのかということからスタートしている。プロパガンダもここまで優秀に出来ていると逆に感嘆する。 【Arufu】さん [DVD(邦画)] 9点(2006-05-13 01:43:43) |
4.戦時中の国策映画なので、当然メッセージとしては戦意高揚にあるわけですが、そのメッセージまで含めて、自分には大変興味深い作品でした。この時代は僕の祖父母が生きていた時代であり、両親がが子供だった時代です。ところが戦時中というと、どこか別の世界の、歴史教科書のなかの出来事として現実感を感じられなくなってきていると思います。しかしこの映画に映し出されているものは間違いなく現在と続いているまぎれもない日本の姿そのものなわけです。ロケ地にしても、当時の風俗にしても、まさにその当時そのままの姿が記録に残っている。原節子が立つ同じ日本の地、同じ空の下で、祖父母が間違いなく生きていた。作品の意図するところとは別に、僕はそんな感慨を持ちました。 【ロイ・ニアリー】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-04-23 12:49:00) |
3.中盤まではそれなりに観れたんですが、皆さん↓述べられてるように、キャストが充実している事もあるので・・・。後半からタイトルに偽りなし、主人公の少年すらそっちのけで戦闘シーンばかり。映画として形を成していないような気がします。なるほどこれが第二次大戦中の戦意高揚映画だったんだ、って感想を持っただけで貴重な文化資料的価値はあるかもしれないが、今全編観せられてもちょっと困る。(浅草東宝オールナイト山本嘉次郎特集にて→) 【放浪紳士チャーリー】さん [映画館(字幕)] 4点(2005-12-04 10:39:00) |
2.こういった映画には、点数をつけること自体ナンセンスだと思いますが。 |
1.戦時中の戦争映画なので勝って終わるという高揚映画なんだけどいいです。悲壮感など暗い部分を少しも見せない明るい映画です。うっちゃりで相撲に勝ってもその精神がいかん押して押おして押し捲れと親方のようなこと言うし、ラグビーで負けても気合で勝ってたとかもう精神が凄すぎる。体操シーンも北朝鮮のマスゲームのような一糸乱れぬ動き。キャストの豪華さもかなりプラス。三四郎の藤田進・大河内傳次郎・河野秋武に進藤英太郎や田中春男、原節子までいるという凄さ。 【バカ王子】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-10-24 23:31:43) |