319.最後の合戦シーンの迫力は凄かった。一年がかりで撮影しただけあって、さすがに細かいところまで丁寧に作ってある。ただ、長すぎるのが難点で、個人的にははこの後の「用心棒」や「隠し砦の三悪人」、「椿三十郎」のほうが見やすいと思うのだが、それでもこの映画は10点以外考えられない。見ていない人は一度は見るべし。必見の名作である。 【イニシャルK】さん [ビデオ(邦画)] 10点(2024-04-30 12:34:52) |
318.七人の侍というタイトルでありながらこの映画のキモはメインの侍たちにむしろ侍らしくない人物が揃っているところです。勘兵衛(志村喬)は僧に擬装した坊主頭、平八(千秋実)は初登場シーンで薪割りをしておりいざという時には人を斬らずに逃げ出すとまで公言する、勝四郎(木村功)はまだ未熟な子どもで花畑で少女のように花を摘みさえする、菊千代(三船敏郎)は勘兵衛に侍なら正気を失うほど酔いはせんと言われたそばから泥酔している、この彼らの侍らしくなさこそがむしろ時代と国を超えて多くの人間に愛される要因ではないでしょうか。まあ久蔵(宮口精二)はいかにも侍らしい侍ですけど、周囲が侍らしくない人物に囲まれているからこそかえって彼が魅力的に見えるのだと思います。しかし七人は金にも出世にもなるわけでもないのに戦う理想化された人物で彼らこそ本当の侍であるような描き方になっているため、結果としてこの映画は侍という神話を再生産する作品になってしまいました。悪役が野武士であり、農民が侍を雇うプロットを見ても本来ならば侍なんて飯を食うために仕事をしているだけで立派でもなんでもないただの人間だという侍という神話の解体がこの映画のテーマになるはずなのに、黒澤明は劇中の侍たちを人間として好きになりすぎているんですよね。いくら台詞で農民を持ち上げたところで侍側こそ真に偉大だったという印象が残ってしまいテーマと人物描写が食い違ってしまっています。そのためこの作品はキャラクターが魅力的なだけの娯楽映画以上のものになれていないと思います。そのことがこの映画の人気に繋がっているのでしょうからこれはこれで正解なのかもしれませんが、私は黒澤明監督作品を、そして映画という表現をただ面白ければいいエンターテインメントとしてのみ評価する見方はしたくないのです。 |
317.正に、正に日本映画の最高傑作!題材である“侍”というもの自体、我々の中に眠る大和魂を奮い立たせてくれるものではないでしょうか。3時間27分の長い映画ながら、無駄のない、そしてテンポの良い編集で、時間が経つのも忘れてしまいます。娯楽映画ながら、人物の描写が非常に細かく、百姓の、百姓である事への嘆き、そして、武士への怒りなどが痛いほどに伝わってきます。そしてクライマックスの決戦のシーンは今の映画にも負けず劣らずに迫力があります。これを見ずして日本映画は語れないでしょう。 【クリムゾン・キング】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2021-07-30 19:19:32) |
316.30年ぶりに観たけど、映画館で観たのは今回が初めて。面白過ぎる脚本と、黒澤映画史上最高に美しい映像に心はスクリーンに釘付け。とくに室内のシーンの黒色の美しさは筆舌に尽くし難い。何はともあれ三船敏郎のケツに10点。 【ブッキングパパ】さん [映画館(邦画)] 10点(2021-01-11 15:20:55) (笑:1票) |
315.恥ずかしながら初クロサワ 60年以上前の映画とは思えない良さ 面白いのはやっぱりヒューマンドラマだから それぞれの個性なども光ってて良いですね とはいえ、やはり古めかしさも事実 現代の映画ほど洗練されてないのも然り 演出や話のテンポなどには少々難があるかな 特に後半、野武士との戦いはグタつく感が否めない 【愛野弾丸】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2020-12-06 18:48:17) |
314.セリフが聴きづらい、白黒、異常に長いと悪い点ばかり目に付きました。 あと何年経ってまた観たら評価が変わるのかも? (2018年追記)久々に見て展開を覚えていなかったので楽しめた。 かなり長いが、各キャラクターの個性がちゃんとあるのが良い。 昔の日本人の考え方とか暮らしなどをこの映画から読み取れると面白い。 リマスター版ではないのでセリフが聞きづらく、字幕がないとかなり分からないのが難点。 【mhiro】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2019-04-01 09:02:22) |
313.日本映画およびアクション映画の傑作。長い映画だが、面白さに飽きることはない。椅子に座ったお尻の痛さも感じない。前半部は、人が集まって来る映画。そして、後半部はワクワクの大活劇。SFXが全盛の現代の映画より面白い。特に雨中の襲撃シーン。また、三船の映画。迫力、おかしさ。すごい。4k版前は、三船のセリフが聞き取れなかったが、それでも傑作。映像の力。(4k版では、左卜全以外は、明確に聞き取れます。)唯一、木村と津島のお花畑のラブシーンが欠点。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 10点(2019-01-07 13:13:27) |
312.午前十時の映画祭にて4Kデジタルリマスター版を鑑賞。TV・DVD・劇場含めて今回が初見なのでリマスター以前の画質を知らないため、リマスタリングの恩恵をどのくらい受けているのかは不明です。非常に面白く、3時間の長丁場もダレずに楽しめました。でも、日本映画最高傑作(人によっては全世界の映画で最高傑作との評価も)と名高い本作ではありますが、日本映画最高傑作か?といわれると私にはそうは思えません。確かに素晴らしい映画ではありますが、64年も前(2018年現在)の映画を未だに超えられていないということはあり得ないと思うんですよね。逆にもし本当に他の日本映画が七人の侍を超えられていないのなら、そっちの方がよっぽど日本映画の危機なんじゃないかと思います。 追記:見終わった後、映画の内容に関係なく、少し寂しさ・切なさを感じました。たぶん(風景だけではない、生活様式も含めた)日本の原風景を今はもう見られないことへの寂しさ・切なさなんでしょうね。 【MASS】さん [映画館(邦画)] 8点(2018-07-12 00:54:56) |
311. ひさしぶりに見た。何度見ても面白い。 映画を一生懸命作っている。世界の映画人をうならせたのもよくわかる。 やっぱり黒澤最高! 【海牛大夫】さん [DVD(邦画)] 10点(2018-05-23 21:42:50) |
310.さすがは日本映画界の最高峰だけあって、本当に凄い映画でした。本物にしか見えないオープンセットと俳優達の迫力、アクションのみならず男の友情・ラブストーリー・コメディに階級闘争までがパンパンに詰め込まれた異常なまでの情報量と、それらをひとつの物語にまとめてみせた脚本の素晴らしさ。映画のあらゆる要素が網羅された奇跡的な作品であり、傑作の中の傑作であることは間違いないと思います。 ただし、本作のようなマスターピースは後世にて徹底的に研究され、模倣され尽くしているために、鮮度はめちゃくちゃに落ちています。特にスピルバーグは『ジョーズ』や『プライベート・ライアン』など「チームを結成してミッションを遂行する」という本作のアップグレード版を多数制作していることから、それらの後発作品を見てしまうと、どうしても本作のインパクトは落ちてしまいます。 また、七人という人数が集団アクションにおいては適正な数字とは思えなかったことも、ちょっと気になりました。二つのグループの橋渡し役とコメディリリーフは通常一本化されるし、リーダーの女房役と参謀役も一本化されることが多いのですが、本作ではそれぞれを別のキャラクターにしていることから、菊千代と平八、五郎兵衛と七郎次のポジションが重複しているように感じました。 さらに、敵である野武士の描写がスッパリと切り捨てられており、思考も感情もなくただ飛び込んでくるだけの存在になってしまっている点も、てんこ盛りにされた他の構成要素と比較すると味気なく感じられました。村に一騎ずつ誘い込んで徐々に兵力を切り崩していくという主人公側の作戦に引っ掛かり続ける様などは、もうちょっと何とかならなかったのでしょうか。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(邦画)] 7点(2017-11-15 23:56:59) |
|
309.村での雨の中、馬を使っての決戦シーンは迫力! 菊千代が、決戦のときに、刀を数本地面に刺すところはお気に入り。 三船敏郎が、用心棒、椿三十郎とは違う、ひょうきんなキャラクターだったが、 相変わらずかっこいい! 【へまち】さん [DVD(字幕)] 8点(2017-08-20 02:08:00) |
308.セリフが聞き取りにくかったけどデジタルリマスターではなかったのか。浪人や農民たちの喜怒哀楽はそれなりに伝わってくるけど、それぞれ役を演じるというより演じさせられているような印象。惹かれあう若侍と百姓娘の姿も深みがない。60年以上も前の大作でストーリーはすごく面白いけど、響くものがあまりないので物足りない。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-04-28 22:20:45) |
307.某テレビ局が黒澤明作品を大量に買い付けた時があって、それまでテレビではほとんど放映されなかった作品が次々と登場しました。私は主要な黒澤作品をこれで見た口で、評判だけは聞いていたものを、この目で確かめることができました。中でやはり傑作だったのはこの『七人の侍』で、なんとも面白い映画を作ったもんだなぁというのが、当時の感想でした。 その後数回見ましたが、今回改めてリマスター版を劇場で鑑賞し、面白いことは面白いのですが、はやり初見時の感銘には及ばないかと感じます。こちらが見慣れてきたということもあるのでしょうが、もしかしたらデジタル化したことと関係があるでは、とも思えます。映画の中に没入せず、やや距離を置いてクールに眺めてしまうところがあるのです。これはやはりそういう類の映画ではないだろうと思うので、こうして客観視してしまうのは、この映画を見る態度としては問題があろうかと思われるのですが、そこに少なからずデジタル化の影響があるように思えてなりません。たとえ傷があったり音がこもったりしていても、フィルムで見た方がより夢中になれるのではと勝手に思ってしまう次第ですが、まあそれは単なるノスタルジーによる思い過ごしかもしれません。「凄くて面白い」映画であることには、間違いないのですから。 内容的にはあれこれ考察することは可能ですが、そういうことをしてもつまらないのでやめておきます。「凄くて面白い」娯楽映画の傑作、これだけで十分でしょう。〔レビュー900本目〕 【アングロファイル】さん [映画館(邦画)] 9点(2017-03-31 23:39:47) (良:1票) |
306.初めて映画館で見た時、見終わった後、しばらく立てなかった。感動して泣くとかなんてレベルではない。 なにか、とんでもない物を見たという感じ。 ある侍の1日を描こうとしていたのが資料不足から頓挫、日本の剣豪列伝になり、それもボツ。 黒澤監督が「武者修行って何だったんだろう?」と呟き、やがて室町から戦国時代は野武士、野盗の類が跋扈し 村を襲って略奪することがあり、治安が悪かった。だから、そういう村へ行って寝ずの番をする覚悟があれば 腹いっぱい飯を食わせてくれて翌朝干飯を与えて送り出してくれたという古文書の記録から、この奇跡のような映画が動き出した。 時代劇、アクション、悲劇、喜劇、人間ドラマ、群像劇、ラブロマンス・・・・映画のすべてが詰まっていて、そして何よりも エンターテイメントとして完璧。面白くないわけがない。 侍と農民の溝もキチンと描かれ、武士、農民の双方への尊敬だけでなく批判もちゃんと描かれている。 1回2回はただただ面白く、あれよあれよと見てしまうが、見返すとキャメラワークの凄さがまさまざとわかる。 人物と人物が被る場面がワンカットもないことの凄さ。それを望遠でやってることの凄さ。 侍と農民がとる作戦、勘兵衛の「守るだけでは城はもたん。いい城には必ず隙がある」と言う言葉の通り わざと弱点を野武士に教えるという作戦は、表敬訪問に黒澤を訪ねてきた自衛隊の幹部が「アメリカの作戦要務令とまったく同じ内容で 作戦として完璧。実戦で使えます」と驚いたリアリティの見事さ。 神様が作らせたような世界に日本が誇る大傑作。 【ひろみつ】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-12-07 20:32:24) |
305.「生きる」と並び称される黒沢作品だが、個人的には「生きる」の方に断然軍配を上げたい。率直にいってこの作品は私には長すぎて中だるみしてしまう。もちろんつまらないわけではないが、世間での評価に今一つ納得できないでいる……。というわけで映画の方にあまり感動できなかったのだが、何かの本でみかけたこの映画の志村喬の写真に私は大変驚いた。「生きる」の志村しか知らなかったので、この映画で侍大将を演じていると知って「あの地味な印象(生きるの主人公)しかない役者が侍大将?」という違和感を(映画を見る前は)感じていた。ところが写真の志村を見て私はうならされた。風格があって堂々たる侍の姿がそこにある。たった一枚の写真でなるほど侍だと思わせるこの姿、いやはやこの役者は凄いなぁと感服させられた。 【空耳】さん [インターネット(字幕)] 8点(2016-10-22 16:10:19) (良:1票) |
304.日本映画の傑作です。日本人が外国(ハリウッド)に対して誇れる数少ない作品でしょう。ところで、黒澤監督が若いころハリウッドに進出し、何本か撮っていたら、どんな作品が出来ていたんでしょう。想像しただけでわくわくします。さて、この作品、見所は数知れずありますが、前半の仲間となる侍を集めていくシーンが今後の展開を期待させるという点で好きですね。しかし、良くまあ個性的な連中が集まったこと。いやあすごい。追加。今日、4Kリマスター版を観てきました。良かった。まず音声が改善されている。ほとんど聞き取れなかった前のバージョンだったが、7割がたわかった。そして映像が美しい。白黒映画の美しさが蘇っていた。コマが変わる時のブレは無くなり、細かい部分もクッキリしていた。それに、・・え?前はよっぽど酷いバージョンを観ていただろうって?・・・そ、そうかも知れない。 【パセリセージ】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-10-21 18:47:05) (良:1票) |
303.何度も見たくなるこの歴史的傑作を、今回初めて映画館で鑑賞した。野上照代女史をして「これ黒澤さんに見せたかったな。」と言わしめた4kリマスター。平日の朝だと言うのに映画館は混んでいた。長尺映画には珍しく、後半よりも前半の方が短く感じる作品。未熟な自分には未だに消化しきれていない部分があるが、今後自身の成長とともに真に理解できる時が来る事を期待しつつ、きっとまた観るだろう。それにしても三船敏郎が美しすぎる。 |
302.なかなかよくできた歴史ファンタジー 200マイルも稼げたし、3時間越えの長丁場も少しも退屈に感じなかったのでまあいいでしょう。 時代考証(戦国時代の娘が「傷物にされた」だけは思わず失笑しました、周りの方失礼)、戦術面での適当さについては多くの方が神聖視している作品を、野暮な突っ込みであげつらうのは子供じみていると思うので控えます。最低限の物語世界内の整合性はとれていたと思うし。 津島恵子って随分綺麗な女優さんだったんですね、見とれました。あと久蔵がかっこ良かったな 【rhforever】さん [映画館(邦画)] 7点(2016-10-09 04:50:57) |
301.傑作です!長さも感じさせない充実した内容にハリウッドがほっとかないのも無理がない。木村功の演じる若い侍が尊敬してやまない、宮口精二の剣豪侍の役は特にカッコ良かったです。 【白い男】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-06-08 15:23:00) |
300.私の日本映画のBEST ONE。 始めから終わりまで、ワンショット、ワンショットに、無駄がなく、また意味がある。 感動、躍動、痛快、笑い、驚き、ペーソス、あらゆる要素が組み込まれている。 これぞ神業か? もう何回観たか?一年に一回は観ずにはいられない。 そのたびに新しい発見、新しい感動。黒澤万歳!! ちなみに海外映画のBEST ONEはジョン・フォード監督の”駅馬車” *** 久し振りに再観賞。リマスター版なのか、5・1サラウンド、日本語字幕付きのDVDをレンタル。音響は迫力が出、聞き取り辛い音声は字幕で補完。 画像も今までより見やすく、綺麗になっていた。 感動衰えず。昔は観るたびに、映画で生きた人が先に亡くなるなあ・・等、思ったものだが、今では存命の俳優はいるにかなあ? '07 6/17。2015.04/12 鑑賞。 【ご自由さん】さん [映画館(字幕)] 10点(2015-04-23 22:15:34) (良:1票) |