5.三池監督作品は「喰女」に続いてこれで二作品目の視聴。なので監督の個性云々はわからないが、たぶん女の情念とかが好きなのだろう。江戸~明治時代の女郎屋の話なんてきっと大好物。
現実に昔の日本で当たり前にあった、女郎部屋、間引き、子売り、村八分。そこへ近親相姦、拷問をプラスしてスプラッター風味で味付け。最後にアメリカ風に「バスケットケース」ならぬクリーチャーをトッピング!という感じだ。
けなしているように聞こえるかもしれないが、そんな事はない。フィルムでなくビデオで撮った色鮮やかなクッキリした映像と、台詞が日本の因習を感じさせる方言ではなく英語である事、この二つのおかげで昔の日本のドロドロの土俗性が薄まって、見やすくなっているうえにスタイリッシュな映像になっている。
川を流れていく血みどろの嬰児の映像すら、哀しくも美しい。
日本人向けではなくアメリカ人向けに作ったせいで、よくある日本ホラーとは一線を画したニュータイプのホラー作品になっているのがいい。
ひとつだけ、もう少しストーリーに強いオチが欲しかった。クリーチャーを見せて終わらせるのではなく、その上にさらにもう一つオチがあればもっとよかったと思う。原作付きだから難しいかもしれないが。