1.「アメリカン・スプレンダー」の中で、主人公の友人が「車を飛ばしてでも観に行きたい」と語っていたのがこの作品。日本では未公開なのでビデオ屋にあるかな~と思って探してみたら…あった。さすがは「ドッキリ・ボーイ」全三作を揃えている店だけのことはある(笑)。さて、映画について語る前に「ナーズ」という言葉について。「アメリカン~」DVD版の解説によると、「ナーズ」とは「ダサい奴、転じて理工系の知識は豊富だけど内気なタイプ、いわゆるオタク」とされている。ただ、この作品が日本でビデオ化された頃はまだオタクという単語が一般的でなかったからか、タイトルでは「オチコボレ」、作中の字幕では「ガリ勉」となっている(って正反対やんけ!)。つまり日本語に当てはまる適当な言葉がないのだけれど、この作品を観る限り、いわゆる理系オタク以外でも、ちょっとナヨナヨした黒人や鼻くそほじってばかりの変人、或いは飛び級して大学に入った天才少年などなど、要は「アメリカ的なカッコ良さの基準から外れた人」を指すらしい。そこで「アメリカ的なカッコ良さ」とは何か、という話になるのだが、これが「女の子にモテる・スポーツ万能・良い車に乗っている・基本的に白人」という、つまりは「シザーハンズ」のキムの元彼を極端にしたような奴ら。んで、前半はその「カッコ良い軍団(大学内のアルファベータというグループ)」がいかに頭空っぽで、しかもナーズに対して意地悪か、というのが、いかにも80年代米コメディのノリで延々と描かれるのだが、その描写があまりにもステレオタイプで笑えなかったのだけど、これってある意味「アメリカ的」だよなー、と途中から思えてきた。特に大学内の議会で好き勝手な事を主張するアルファベータの連中は、国連で好き勝手な事を主張するアメリカの姿に呼応している。そういう意味でこれはアメリカ内部のオルタナ的な「アメリカ批判」なのかもしれない、とちょっと思った(大学内で、唯一ナーズ達の味方になるのが黒人グループだという点も興味深い)。ま。基本的にはバカ映画なんですけどね。最後にナーズのリーダーが「今まで疎外感を味わった事のある人、大多数になじめずに居心地の悪い思いをしたことのある人はみんな仲間だ!」みたいな演説をするシーンでは、不覚にもちょっと感動してしまった。あ、あとちょっとディーヴォっぽい劇中音楽も良かった。ポリアカ好きな人にはオススメ。