13.《ネタバレ》 素敵すぎる。
抑揚のきいた優雅な素晴らしい演技。細かい所まで気のきいた演技。
これでもかって空間を演出した背景。
パースのきいた世界で形の変わらないものをなめらかに動かす技術。
ディズニーでもフライシャーでもなく、もちろん日本でもない独特の絵柄。
コスマのせつなくもはかない音楽。
絵の中から恋人同士が逃げ出すというなんというロマン。
して意味の分からない素敵な秘密警察。
不思議な科学技術。
鳥という名の鳥。
なんでいきなり巨大ロボット。
労働階級、独裁政治といったような戦後フランスの当時の社会問題が見え隠れしますが、
それを恋の物語としてファンタジーにしてしまう力量。
この映画にへ理屈なんていりません。
「王と鳥」「やぶにらみの暴君」と両方みましたが、世間的には圧倒的に「やぶにらみ」が良いという評価のようですが、ぼくはどっちもよかったです。「やぶにらみ」の方が全体的にアップテンポだったかな、「王と鳥」のほうがシットリしてる気がしました。けど、エンディングは「やぶにらみ」の方が好きですね。
なんか古典の王道のような終わり方で好きです。
「やぶにらみ」に関しては後半のクオリティがだださがりでとても残念です。(最後の国を破壊する引きのシーンのロボットがえらくかわいい動きになっているのはおもしろいって意味では好きですが。)
「王と鳥」はグリモー自身が満足いくまで作り直しただけあって、全体のクオリティマナーは守られていました。こちらの方がラストが社会的メッセージを感じますが、グリモーはこの映画を古典的な物語というより、
社会的メッセージとして描きたかったのですね。どちらの作品もあの国の一般市民の生活が描かれていないので、そんなシーンがちょっとでもあったらなと思いました。
色々あげたらまだまだきりがないですが、とにかくぼくはどっちも好きです!
あの階段を駆け下りるシーンは何度みても、いつみても、
何かが始まる気がして、ぼくをドキドキさせてくれます。