5.《ネタバレ》 長い、とにかく長い・・会話も長いが、見せ場もてんこ盛りで長い。
オッペンハイマーの人物像と太平洋戦争の時代のアメリカを丁寧に描いているが
ここまでの物量が必要だったのだろうか・・? 女好きの下半身事情とか
原爆の開発研究課程の人間関係に、最初の核爆発実験シーンも
水爆を否定し共産主義を疑われて窮地に陥る後半の顛末も、もっと編集して
短くする事が出来た筈だし、普通の監督なら、制作スポンサーサイドから要求された筈。
今回は、大御所になってしまったノーラン監督のわがままを通してもらったのだろう。
しかし、長すぎて飽きてしまったのは事実だ。 どう考えても2時間以内の映画にできた筈。
だって大した中身が無いんだから・・
核爆発による大量破壊兵器の問題は、被害が広範囲過ぎて、軍隊だけでなくその何倍もの
民間人が巻き添えになる皆殺し兵器だという点。 そして放射能による長く続く悪影響。
その現実を理解していながら、敵国に遅れる訳に行かず研究を急ぐ科学者チームのリーダーが
その成功により、戦争終結し英雄扱いされる中で、急に冷めていき、更に強力な水爆の開発の
依頼が来たのを拒否。そして原爆開発チームの一部にソ連のスパイが見つかり、栄光の座から
容疑者へ転落し、女癖の悪さをも暴露され女房との仲も最悪になる終盤。
この物語を映画にするのに、あれ程の細かいエピソードを肉付けする必要があったのだろうか。
映画館を見渡すと、高齢者が多くて笑ってしまったのだが、かく言う自分も引退世代、
トイレが持つかどうか不安である。 実際隣の同世代の客は核爆発実験の後でトイレへ行き
戻ってきたが、ラスト30~40分を見ずに出て行ってしまった。
見るからに足腰の不自由な80代のお婆ちゃん、良くぞ耐えたものだ。(他意は無しです)
暖房効きすぎで暑過ぎる館内環境は、発汗でトイレ問題解決の為なのかと思ってしまった。
と言うわけで・・映画は長すぎてはイケないというのが、自分の判断基準の一つである。
それから気になったのは、ただのドラマシーンに大音響重低音の効果音はやり過ぎだ。
先日見た砂の惑星レベルの地響きと振動が、ドラマの中に何度も使われていて煩い。
1度ならまだしも、10回も20回も繰り返す演出は、インパクトを超えて嫌味になってる。
そしてエンディングがまたイマイチ。科学者の名前を付けた映画なのに、どんな人生を
終えたのかは描かれない。 名声を失った後に、核戦争の未来を想像するシーンで
終わりって・・ 中途半端感が大きい。
てな事で、この映画に高得点を付ける気にはなれなかった。アカデミー賞で話題だけど
そこまで優れた作品かと疑問が残る。
この長さの映画なので、セルかレンタルで自宅鑑賞を強く推奨します。
で気が付いたら、自分の投稿も長過ぎでビックリ。
追伸・・日本語字幕の文字が、かつてない大きな文字でした。それだけ会話の中身が
重要な社会派ドラマ映画なのでしょう。 その新しい試みは賛同しておきます。