2.《ネタバレ》 ロドリゲスやタランティーノの信者でもなく、正直言うと「グラインドハウス」にもそれほど乗り切れていなかったので、自分が観て楽しめるのか、そもそも自分に観る資格があるのかなど、鑑賞前には不安はあったが、そんな不安は杞憂だった。
冒頭、敵のアジトに突入する際に、隣にいた相棒が1秒程度で死んだシーンをみて、『あぁ、この映画俺の好みかも』と感じさせてくれた。アジトに突入して次々に敵の頭が吹っ飛ぶシーンをみて、『これは楽しめそうだな』とほぼ確信に変わった。さらに裸の女性で出てきたシーンをみて、『…』。
R18指定作品となっており、暴力的な映画とも思われるが、グロさもエロさもほどよい仕上りとなっており、嫌悪感なく楽しめる作品になっている。
多数の出演者も自分の役柄を理解して、ノリ良く演じている。中でも、デ・ニーロもノリ良く演じており、タクシーを強奪して乗り込んだときには何故か笑えてくる。ローハンも自己が置かれている立場を逆に利用して、あらゆる面でナチュラルな演技をみせており、出番は多くないものの我々を驚かせてくれる。
ラストの展開がかなりグダグダしている部分もみられるが、これもB級映画っぽいテイストを狙っているのだろうか。ロドリゲス監督がそこまで計算して製作しているとも思えないが、見ようによっては、このグダグダなラストは本作とマッチしているかもしれない。
また、スティーヴン・セガールがラストでは乗り切れていないと思ったが、彼の三文芝居も同様に本作には合っているのかもしれない。
好意的に解釈すると、素晴らしいクライマックスや、ラスボスとの壮絶なバトルや、感動的な盛り上がりを用意するような映画ではないということか。
そのような凝ったことをしなくても、次回の予告画面だけ見せてくれれば、それだけで盛り上がれる。
ストーリーに関しても、くだらない復讐劇が繰り広げられていると思いきや、アメリカでのヒスパニック系問題や、メキシコからの不法入国、麻薬問題など、リアルな問題を放り込んでおり、決してバカには出来ないストーリーに仕上がっている。
詳しくは分からないが、アメリカ国内を占めるヒスパニック系の割合は相当なものとなっており、彼らの影響力の高さは重要視されているところである。
グロさやバカっぽさ前面に出して押し切るのではなくて、それらを含んだバランス良い仕上りとなっていることは評価できる点だ。