1.エルモア・レナードの短編を原作とする「ユマ行き3時10分発」。
ストーリーの完成度は未だリメイク版に引けを取らない。
人間ドラマが主体の西部劇だが、ファーストシーンにおける居並ぶアウトローと取り囲まれる駅馬車の様相はワクワクするなという方が無理だ。
本作は強盗団の首領を捕縛し護送するというシンプルなもの。
首領を抑える事で強盗団そのものを押さえつけ、強力な盾であり敵に次々と襲われる餌でもある。
そんな命懸けの任務に集う仲間たち。
駅馬車を利用した隠蔽劇、
立場を超えた絆、
ラスト20分に渡る駆け引きは見応えあり。
走り去ろうとする列車における一瞬の戦いは面白い。
ただ奥さんが駆けつける必要はあったのか?
アレで敵に襲われた人質なんてなってたら洒落にならない。
ラストの雨の場面がキレイだった事。美しい。
強盗団のボスを演じるグレン・フォードの顔は、一見に善人に見える「極悪人」だ。
見た目はニコニコ面でとても悪党には見えないが、不敵な笑みで主人公を嘲笑う時の表情は不気味である。
怖い顔のヴァン・ヘフリンは正義漢の塊だが、焦りと苛立ちが内に潜む凶暴性を見せる。
元々は家族を食わせるために参加した普通の人間。覚悟はしてきたがいざ妻と再会するとなると家族への愛情を覗かせる。このヴァン・ヘフリンは「シェーン」よりも好きな父親だね。
たった一人で戦い抜く姿は「真昼の決闘」よりもハラハラドキドキしてしまう。ゲイリー・クーパーが愛妻なら、ヴァン・ヘフリンは本来敵である筈のグレン・フォードに助けられる。孤独だと思う人間ほど誰かの支えで助けられている。人の支えの大きさを思い出させる。
あとフェリシア・ファーが可愛かった。特に胸が(ry