2.樹木希林の機動性の良さに感動した。
あのスピードでみそ汁を運べる女優はなかなか居ないだろう。
やはりあの重心の低さがスピードと安定感を生み出すのだろうか。
竹内結子の謎めいた愛人もいい味を醸し出していて悪くない。
鈴木砂羽の疲れた母親感も見事。
現代パートで哀愁を振り撒いたミムラもいい。
でも、この作品の主演女優は間違いなく松本花奈だろう。
若さを前面に押し出した愛らしさにどうにかなってしまいそうで、どう考えても僕を萌え殺そうとしてるとしか思えなかった。
挙句の果てにはワン!とか吠えちゃうわけですから、もう参りました。
タイトルにもあるサイドカーのシーンはもちろん印象的で良かったけど、他にも歯を溶かすコーラや自販機の警報に爆笑させてもらったし、自転車に纏わるエピソードには感動すら覚えた。
演出的には蛇足かと思われた犬の着ぐるみでさえ、あまりの可愛さに許してしまいそうになった。
作品の時代背景は昨今の昭和レトロブームに象徴されるような昭和30年代ではなく、昭和後期、西暦で言うところの1980年代を思い起こす形で進行していく。
ガンプラブームが到来し、山口百恵の結婚、パックマンに麦チョコ、そして、自販機のコーラがまだ100円だった頃の物語である。
同じ時代を過ごした者として懐かしさだけじゃないリアルな現実味を感じながら鑑賞することができて何かと感慨深かった。