1.《ネタバレ》 「ストーリー」ではなく「世界観」を楽しむ作品です。
リサは言います。
「不思議な事がたくさん起こるけど、今は何も考えなくてもいいの」と。
その通りに細かい事を考えずに見て、楽しめたもん勝ちの作品だと思います。
ナウシカ・ラピュタ・もののけ姫のような、メッセージ性を含み
壮大かつ重厚で疾走感のある、世界の存亡をかけた冒険活劇を望む人には『×』で
トトロ・魔女宅・千尋のような、主人公の等身大サイズの
ミニマムな世界で広げられる、良い意味で”ヘン”な世界観に没入できる人なら『○』でしょう。
千尋~ポニョまでの作品の特徴として
各キャラクターの魅力と、そこから広げられる世界観を楽しむのが第一意義になっていて
ストーリーは、それを彩るための演出の一つになっている点があり、そこが物語性を重視する人には不快なのだと思います。
(((物語として完成度の高い物(バックトゥザフューチャーのような)を求めるなら
「カリオストロ」や「ラピュタ」を繰り返し視聴して満足するくらいしかないのかも?
これらを超える壮大なストーリーは宮崎氏にももう作れないだろうと思われますし
作れたとしても、本人ももう同じ方向性のものは作らないし、作りたくもないのではないかと)))
あいかわらず映像も曲も美しく、テーマ曲もキャッチーな割には飽きにくいです。
恒例のおいしそうな食事シーン、浮遊感のある演出などもニヤリとできます。
出目金のようで下ぶくれしてるポニョも、見るにつれてかわいく見えてくるから不思議。
所さんのフジモトもいい味を出してまた。「BAKA BAKA BAKA…」では場内大爆笑でした。
不満としては、これはポニョだけではなくハウルと千尋にも言えることですが
ハッピーエンドへ向けての終盤の流れが、予定調和的で御都合主義すぎるとは思いました。
---「ポニョ、そうすけ、すき!」「ポニョは、僕が守ってあげるからね」---
これは宗介が不思議な友達ポニョと出会って、永遠の友情(愛情?)で結ばれるまでの、小さな小さな物語です。
宮崎監督の初期作品の幻影を取り払い、ぜひとも頭をカラッポにして見てみてください。
小さい頃、机の引き出しを開けて毎日ドラえもんが来るのを待っていた無邪気な記憶がよみがえりました。
今日は緑のバケツを持って水辺でポニョが来るのを待ってみようと思います。