8.《ネタバレ》 映像演出だけでも観る価値あり。
『こんなFPSやってみてぇ!!』と思うのですが作ってくれませんね。
映像は凄くリアルなのに所々入るアナログゲーム的演出(爆炎が2D、死亡時はドット的にバラバラ崩壊等)が面白く且つ『同じ戦闘シーンでも戦争映画のような登場人物が生死を掛けた戦いではなくゲームでしかない』と言う印象をもたせることにもなっている。
他にも『映像にフィルターを掛け虚実感を増す』『窓を開けると壁』等隅々まで手が込んでおり、またマトリックスが本作にも影響受けているのが分かり、それだけでも個人的には嬉しい。
話に関しては、押井さんが好きな『現実と虚像の融合』的演出が他作品と比べて一番分かりやすかった。
『ゲーム世界でのクセで拳銃を抜こうとする』『旧友の下品な飯の食い方(リアルな生活観)を見て嫌悪感を抱く』等ゲーム世界への依存度が強まり境界線が無くなりかけている主人公の心境を上手く表現できていると思った。シチューに関しては現実世界でも『楽しい事(料理や食事)』を見つけたかったと言う事なのでしょうか?
そして後半に出てくる『クラス・リアル』、この世界に来た時にフィルターを外し、また長々と電車やコーラスのシーンを入れ『リアルな面倒臭さ』みたいのを演出し、ここが実はリアル世界なのではと視聴者に錯覚されるようになっており、これこそ『アニメじゃなく実写であるからこそ出来る演出』だと感じた(これまたマトリックスでもフィルター演出で世界の変化を演出してる)。
ところが結局『クラス・リアル』も現実世界ではないのだが、『劇中冒頭の現実世界も、犬が突然いなくなったり、映像を繰り返したり等意図的におかしな演出があり、『じゃあどっちが現実なの?』と言う何とも煩わ心地良い刺激が残る。
まぁ結局オチもあやふやだし、『映画世界の話なので現実なんてありませんよ』と言うニュアンスにも取れるので、そこは視聴者任せと言う事なんでしょうか。
そう言った演出は嫌いではないですし、ゲーム好きに対する『こんな難しいゲームをクリアしてもまだ満足しないの?だったら超難しい『現実世界』をプレイしよう!現実だからレベルも1だよ!』的な皮肉が効いてて面白い。
ただ相当独創的な作品なので人を選ぶのは間違いないですね。