1.《ネタバレ》 カスパーの唯一の理解者であり、最大の後ろ盾でもあったダウマー教授との出会いから一緒に暮らすまでの描写が少し薄いかなと思いました。それまでは言葉を喋るのも不自由そうだったカスパーが、次のシーンではもう普通に会話をしていて、その辺が若干唐突な感じがしました。でも気になったのはそこだけで、モーツァルトのオペラ「魔笛」のアリアから始まって、同じ曲でラストを迎えるまで一気に見入ってしまいました。これほど素晴らしい作品を褒めるのはかえって難しい。ただ観て欲しいとしか言いようがありません。あの怪我は、カスパーの正体を知る者の仕業なのか、あるいはカスパーの妄想の産物なのか、はたまた大衆の注目を引くための自作自演なのか、今となってはもうすべてが謎。その辺をあえてぼかしたラストも見事と言う他ないです。