1.裏街道を当てどもなく旅する渡世人の世界。市川崑は『木枯し紋次郎』で描いた世界を、3人の主人公を用いて、趣向を変えてスクリーンに表現した。冒頭、戸籍をもたない無宿渡世人の説明を入れているのが、素晴らしい。若さを持て余しているのに、無宿となってしまったためにまともな職にも就けず、チンケなヤクザの下働きなぞで食いつなぐ。封建秩序からはみ出したアウトローは、こういうハイエナよろしく、さもしい生き方が関の山だ、という無常観が逆に観る者の心をつかむ。キャスティングもよいのだが、ショーケンはやっぱり紋次郎的な孤独な渡世人の方が適役ではないかと思う。、