1.《ネタバレ》 ジョン・フォードによる都会が舞台のスクリューボールコメディ。一人二役(4役の部分有り)のエドワード・G・ロビンソン(エプロン姿!も見られる)希少価値の高い作品。超マジメで超小心者の鉄工会社社員ジョーンズと殺人鬼マニヨンが織りなす起承転結は、ん? と思う所もあるものの無理の無い展開でダレる所もなく一気に見せてくれた。卑怯という概念が無い民衆の敵マニヨンの迫力は見慣れているけれど、誤認逮捕が証明された後も警察に「どうも、お騒がせしました」と超お人好し、悪酔いが過ぎて、課長にため口&密かに思う同僚社員にオフィスチュー、マニヨンを腰抜け野郎呼ばわりと初めて見る姿に笑わせてもらう。直後のご対面シーンは圧巻で、一連の流れの演出と演じ分ける演技力はお見事。ジョーンズが自分の事をマニヨンと間違えている子分達に「殺れ」と言う姿に、他に選択肢は無いのだろうがこれでいいのだろうかと考えさせられた。本作と同じ年製作の「男の敵」「周遊する蒸気船」と遜色無く、ジョン・フォードとエドワード・G・ロビンソンの名人芸を堪能出来た傑作。