1.《ネタバレ》 ラオール・ウォルシュが描く西部劇の傑作の一つ。
ウォルシュ監督の「ハイ・シェラ」を西部劇としてより洗練させてリメイクした。
現代的な様相、何処か虚無的な雰囲気、ファムファタール(悪女)の誕生・・・フィルム・ノワールとしても面白い西部劇だ。
ガンファイトは物足りないと感じる時もあるが、冒頭から脱獄、駅馬車の襲撃など要所要所でアクションが程よく入り人間ドラマもかなり面白いのでダレが無い。
ラストの警備隊の追撃や二人の最期はガンファイトとしても素晴らしい&壮絶なシーンを見せてくれた。
本編は白人とインディの哀しき運命を描くストーリーだが、この映画は「生」と「死」が強調されている。
白黒の画面だからこそそれを色濃く感じられる。
主人公は犯罪を犯した“罪人”であったが、一度牢獄から出て「カタギの人間」としてやり直そうとした。
旅を続ける傍ら様々な事件に巻き込まれ、インディアンの混血の娘に惹かれる。
二人は次第に強い絆で結ばれていく。
祝福する者は誰もいない教会での結婚式・・・社会からはみ出した者同士にしか解らない痛みと温もり。
しかし運命は主人公を元の犯罪者という逃れられない「死」へと追い込んでいく。
一度犯罪を犯せばその烙印を一生背負う。
一度人を殺せばもっと重い烙印を背負い続ける。
そんな事を言われているような胸に響く映画だった。
この映画は90分だが、「たった90分」と思うほど時間が早く感じられる。
もう30分この二人のやり取りが見たいくらい切なくなってしまう幕切れだった。
握った手・・・二人は一緒にあの場所へ行けたのだろうか・・・。
「暗黒街の弾痕」といい、「ボニー&クライド/俺たちに明日はない」といい、どうしてこんなにも切ない映画が多いのか。