6.《ネタバレ》 非常によくできた政治サスペンス
2時間飽きずに引き付けられる映画はそうざらにあるものじゃないが、これはその1本だろう。
暗殺事件までの異様な雰囲気、そして事件後の展開。
ときどき入るフラッシュバックや音楽、余計なシーンがほとんどないカットなど、随所がうまく作られている。
そして後半に判事が猛然と追い込みをかける。
孤高のヒーロー的に次々要人を告訴していくのは圧巻。
そして満足して終わろうかというところであのニュースのラストで絶望へと追い落とされる。
しかしこれが現実だともいえる。
全体のテンポがよく、うまくまとまった秀作。
最後に
これを「左翼はもっと頑張らねば」的に読んでいる人が(ここにはいないようだが)巷には多かったりもするのだが、それはこの映画を根本的に取り違えている気がする。
監督が批判しているのは「全体による圧制」であって、右とか左とかの話ではない。
あえて右左でいいたいならば、いまどき政府の弾圧とか起きるわけもなく、「第四の権力」マスメディアが主力を左翼が牛耳っており、ちょっと危ないことを言うと「軍国主義、戦争賛美、危険人物」的な取り扱いを受ける(実際それで大臣の首が飛ぶこともままある)この日本で、「全体」の側に立っているのは一体どっちかを考えてみて欲しい。実際、言論弾圧法案である人権擁護法は左翼の側から出されているのだし。
さらに言えば、この監督は次に共産主義を痛烈に批判する映画を撮っている。そして今ある共産主義国(中国とか北朝鮮とか)を応援しているのは左右どちらだろうか。