5.『ツィゴイネルワイゼン』なんかは意味不明でもそれなりに面白かったんだけど、ここまでくるとついていけなかった。さすがにこれほど支離滅裂だと退屈で仕方がない。途中で観るのをやめなかったことを後悔している。
『エル・トポ』を思わせるシュールな決闘は、前半に登場する"生活指導の先生"や"外科医"との闘いまではまだ面白かったものの、後半はもう退屈で退屈で……。棒読み台詞は寒々しくて冷めるばかりだし、江角マキコはいろんな意味で浮いている。
映像美も理解できない。この人の映画は好きだが、画が美しいと感じたことはあまりなくて、むしろ古ぼけていてダサいと思う。とくに死者の小船の場面、まったく美しくなく、ただきらきらが鬱陶しいだけ。何がしたいんだ。
唯一、樹木希林と加藤治子の夢語りの下りは光っていたように思う。彼女たちの常軌を逸した夢のイメージ、首筋がぞわぞわするような落ち着いた語り口が素晴らしかった。