2.先ずはカットバックの酷さだろうか。
このひととこのひとが喋っているから、それをカットバックで撮る、
それで喋っている、視線が交わっている、
そしてより感情が昂る場面であればさらに寄るという、
まぁそういうことでしか会話のシーンを成立させられない
安易さというか下手糞さに満ち溢れている。
そして立ち回りもか。
手持ちでウェストサイズ以上で撮ってリズムでつないでというのもいいが、
何故に間に引き画がないのか。
そう、この映画は総じて病的に引き画が少ないのだ。
驚くばかりに速いであろう佐藤の殺陣は、寄りより引きで見たい。
そして武井が佐藤に傘を持っていくシーンの酷さ。
フルショットと寄りのカットバックに、記憶が捏造されていなければ、
ウェストサイズくらいのツーショットで片付けるようなシーンじゃない。
何かが芽生えるシーンなのに、せっかくシネスコでやってるのに、
引き画を全然撮らないのは何故だ。
それは引き画よりも寄り画の方が、感情が伝わる、迫力を見せつけられる、
という勘違いをしているからでしかない。
そういう映画は駄目だ。
ただ、雨、雪、桜、札、なんかいろんなものが降ったり俟ったりしていて、
それはそれで愉しい。