19.暴言を書かせて貰います。クソ映画です。でも、そこそこ観れます。それは何故か?
理由は原作のオリジナリティーが素晴らしい程の濃密なため、多少薄めても十分なポテンシャルを発揮するからです。
原作に触れることなく観た人間にはそこそこ面白く見えるでしょう。イマドキのTVドラマライクに作ってるし。
しかし、原作を知ってる人間には堪らないクソ映画になってると思います。
まず「人生逆転ゲーム」って…こんな他力本願っつーか、漠然とした捕らえ方をしたコピー付けてる時点で原作の根幹を理解してない。
個人的に原作のカイジに戦慄するのはタイトルのような「搾取される側」の着眼点ではない。
「支配する側」の全て満たされたが故に人を人とも思わないゲームを思いつき、実践し、それを娯楽とする「支配階級」の着眼点なのだ。
…原作はギャンブルの形を借りただけの人間のカルマを描き、今の資本主義の中に成り立つ、野生の聖書とも言えるテーマを持つ。
絶対的絶望の世の中で残酷なほどの暴力を弱者に突きつけ、そこに救済の手すら伸ばす者の居ないリアリティー。
”それ”が無い時点で既にカイジと銘打ってもまったくの別モノでしかない。
つか、純然たるテーマを保守せずにTVドラマのお気軽さで映画を作ってんじゃねーよ。
それよりも最近の日本映画って映画と言えるのか?TVドラマの最終回をスクリーンでやってるだけだろ。
そりゃ視聴率から観客動員数を見込めるのは分かってるけど、いつの時代もメディアが衰退するのはこの流れだ。
はぁー、娯楽が氾濫してるお陰で人の持ってる時間、集中力が無くなってる昨今…
娯楽を楽しむ体力の低下が、お気軽に楽しめるモノを「良品」と勘違いさせるのかねー。