1.《ネタバレ》 フィクションではありますが、エンターテイメントとは言い難い作品。娯楽の一環として見るのであればオススメはできません。
なにしろ映画の大部分を独白が占め、少年の同じ映像が何回も挿入される。もちろんそれがこの映画の大事な部分ではありますが、私には少々くどく感じました。
リーアム・ニーソンとジェームズ・ネスビットの演技は素晴らしいです。この2人の熱演があればこそ成り立つ映画。逆に言えばこの2人の熱演に頼りきった作品と言えなくもないです。
『あいつは自分が人を殺した話をするだけで世間からちやほやされて金が入ってくる』と怒りを露にするジョー。
しかし現実は、12年の服役後、ずっと孤独で空っぽなアリスター。妻がいて娘がいるジョーのほうがはるかに充実した人生を送っていると言えるでしょう。これはこの作品におけるある種の救いの表現なのかもしれません。やはり罰せられるべきは加害者であると。そして再生の道は被害者にこそ与えられるものだと。
過去に囚われているのは二人とも同じ。ですが過去と決別するかどうか、その選択権があるジョーに対し、その選択権すらないアリスター。この差は大きいと思われます。アリスターが過去と決別するためには、ジョーに会う必要があったのです。アリスターこそジョーを必要としていました。
ジョーが最後に下した決断。それは自分だけでなく、アリスターも過去の呪縛から解き放ってあげることでした。
最後の電話は、本来であればする必要がないものです。あの電話により、アリスターもまた救われたのです。この意味は大きいと思います。
つらつらと語っちゃいましたが、私はこの映画、概ねつまらなかったと最後に言っておきます。