1.《ネタバレ》 高い評価もうなずける。名作といわれるのも理解できる。
実際、" Not quite my tempo!!"のシーンは苦笑いを堪えることができなかった。
音楽をテーマにしながら、濃いサスペンス劇のような造りになっているのは斬新だ。
では、この作品、面白かったのか?
私には面白くなかったのだ。はっきり言って個人的には実に不快な映画だと感じた。
これは私が音楽を少し齧っていたことに関係がある。
主役二人の音楽に対する向き合い方は、とてもではないがプロのミュージシャンとはいえない。
バンドメンバーとの協調無し、指揮者とドラマーの二人で自分たちの世界に没入、そして観客は置いてけぼり(これが一番ひどい)。
どんなに協調性がなく、独裁的なミュージシャンでもプロならばさすがに客をほったらかしにはしない。自分にお金をくれるお客さんを楽しませてコンサートは成立するし、お客さんを楽しませるために熱のこもった演奏をする。
そういうスポーツマンシップならぬミュージシャンシップをまるで放棄して、二人だけの世界に没入するさまを見せ付けられても、感動を覚えるどころか逆に不快感しか覚えなかった。たとえ音楽の神様がいたとしても、こういう輩は迷惑なだけだろう。
たぶん音楽を齧ってなかったら、迫真の演奏シーンに圧倒されて自分も高評価をしていたとは思う。
…それでもこういう独善的な連中の狂乱ぶりを、音楽の神様が降りている!とか最高の音楽映画!とかって持ち上げたくはないなぁというのが正直なところ。