8.《ネタバレ》 前作があまりに雑だったから今回は丁寧に作った。結果時間も伸びた。とにかく台詞が長い。だからテンポが悪い。そして最初から最後まで話の核となる悪役、一生懸命悪く魅力的に描こうとはしてるけど、しょせんお話の都合で作られたワルモノだからやっぱり観終わると存在感が薄く感じられる。
1969年の再現は素晴らしい。ディテールは良いんだよ。そこだけ一生懸命描きたかったんならそれでもいい。でもね、真面目に作れば作るほどあらわになってくる問題がある。
それは「エイリアン」という存在。変で訳わかんなくてふざけてて凶暴でいいヤツもいて面白くて特殊な能力ある奴もいて・・・それ、お前らの差別意識丸出しじゃない?
この問題は1作目には感じなかったことで、それは1作目は「自虐」に満ちていたし異なる文化へのリスペクトもちゃんとあったからだ。しかし今作ではそれが単なる「超常能力」にすり替わっている。
ここにここまで引っかかるのは「1969年は黒人にとって辛い時代」というのが最初に提示されるからだ。しかしウィル・スミスが理不尽な目に合うのは最初の1回だけ。そのあとはひたすら映画の方から1969年のアメリカの言い訳を取り繕ってくる。
結局真面目に振ったらどこまでも突き詰めないといけなくなる。バカコメディに時代考証と感動だけ接ぎ木しようとしてもだめ。この映画は色々と魅力があって楽しめて感動もできるが、肝心な核が足りなかった。結局そこまでの技量がなかったんだろう。