1.《ネタバレ》 そもそも『源氏物語』って嫌いだし、当時の宮廷女性たちが勝手に作り上げた理想の男性にきゃーきゃー言っていた、いわばライトノベルなんじゃないかという風にしか思っていません。文学としてありがたがるとか、よくわかりません。この映画でも、光源氏がとっかえひっかえ女性と関係を持つだけで、さして面白くない。エピソードの連続なのですが、話が平板でメリハリがありません。途中で源氏が右大臣の刺客に襲われ、返り討ちにするところがありますが、まったくそぐわなくて笑ってしまいます。脚本は与謝野晶子の現代語訳を参考にしているようで、セリフは全て現代語。当時の言葉をそのまま話されても困るのでこれでいいと思いますが、ほとんどファンタジーの世界の物語なので、これもちょっと違和感を感じました。吉村公三郎の演出は、特に光の使い方がよく印象的ですし、モノクロの撮影も美しいと思いますが、とりえはそれくらいでしょうか。大映創立十周年の豪華キャストがもったいないです。