1.《ネタバレ》 一線を退いたという設定であるにせよ吉良常のような処世術もあったと言うことを考えれば、飛車角の進む道は一途というよりむしろ考えることを放棄しているかのよう。21世紀もだいぶ過ぎた今に思えば、不条理もしくはコントネタ。一つの場所をじっくりと大事にする吉良常の方が、一宿一飯の義理なんてもんであっちこっちふらふらしている飛車角よりずっとかっこいいぞ。しかし。本作の見所はラストシーン。へー、ここで終わらせるの?、と思いましたが、おとよの待ち伏せしている「あの場」に飛車角がおもむいたところで、この話は終わっているんですもんね。予定調和な進行を超えるカタルシス。これ書きながら、ジワジワ妙な余韻に浸っています。この余韻は「続」以降を見ると台無しになってしまいそうなので、観ないことにします。