6.《ネタバレ》 コメディー映画でありながら、エンターテインメント映画ではないという奇妙な映画。
ある意味で「芸術系映画」と同じように、エンターテインメントを期待する観客には不満だろう。
初めの方では整合性を保ちつつ不条理を描くように進行していくが、途中から構造自体が破綻し始め、何をやっているのか分からなくなる。そうして全体が台無しになっていく構造や、コメディらしくない極めて冷めた雰囲気の自己破壊的な側面に、体験として特有のものがある。
笑える笑えないかという水準で判断される作品でないし、本当に面白いものは笑えない(笑えるものは手加減している)という感触がある。「監督・ばんざい!」よりも作品自体としての質は高い。
世間で言われているような意味合いでの下らない作品ではない。
例えば「その男、凶暴につき」や「座頭市」よりも、この作品からのほうが多くの感銘を受けた。