1.《ネタバレ》 良くも悪くも「妄想系サスペンスホラー」の典型的作品。
多少、この手のジャンルを見慣れている人なら、もう序盤の展開からして「助かった少女がベアトリスで、施設のシーンは心に傷を負った彼女の妄想かな」と、イヤでも妄想してしまうだろう(笑)。
「妄想系」の長所と短所は、不気味な雰囲気作りが簡単で、本格ミステリーと違い、どんな不可解な伏線も論理的にまとめる必要がない代わりに、幻覚や妄想による「個の喪失」という不安感や酩酊感を強調するためには、主人公以外の人間に焦点を当てにくいので、オチが読まれやすくワンパターンになりやすいと言う点が挙げられる。
また、わざわざ導入とラストを繋げている事故のシーンには悲劇性や無常観を強調しようとする狙い以外にあまり意味が無く、個人的には蛇足だと思う。
この手のサスペンスホラーとしては何の意外性も無いが、作り自体は王道中の王道で、変に捻くったりしていないので分かりやすい良品とも言える。サービスシーンも多いので、少なくとも男性なら見て損をする事はない(笑)。