2.漠然としていて、退屈で、とても居心地の悪い映画だ。“映画通”ぶって賞賛したいところだが、どう転んでも“好き”にはなれない映画だったと思う。
ただ、「命」の在り方を描いたこの作品そのものの“在り方”は、これで間違いないのだろうとも思える。
それは、「命」というもの自体が、漠然としていて、捉えようが無く、それを全うする多くの時間がある種の退屈さと居心地の悪さを秘めているからだ。
決して面白い映画ではなく、「つまらない」と断言できるが、この映画が「命」というものの本質を描こうとしている以上、それは仕方の無いことだと思う。
つまらない映画と言ったが、個人的には「尾野真千子」が観られただけで良い。
今作から10年前の同じ河瀬直美監督作品「萌の朱雀」にて、ロケ先の村の中学校で靴箱掃除をしているところをスカウトされ、主演デビュー。
当時立ち寄ったミニシアターでたまたまその映画を観た際の彼女に対する衝撃は忘れられない。
もちろん“素人”の演技であったことは確かだが、溢れ出る“女優”としての魅力と可能性に心を打たれた。
10年という時を経て、再び河瀬直美の独特の映画世界に降り立った彼女は、すっかり“女優”としての風格を携えていて、何だかそのことが一番感動的だった。