4.《ネタバレ》 巷の高評価に反してわたしは今いちノレなかったです。メロドラマが苦手な性分のせいですね。それに人物のあちこちに話の主軸が飛ぶので落ち着かない。なんといってもサラ・ジェーンを主役に据えるべきです。
初めのうちこそ主役かと思われたローラはどんどん典型的な「善良白人」な描かれ方しかされず、つまらない。サラ・ジェーンだけが現代にも共感しうる苦悩を抱えたキャラクターで鮮烈です。母を拒絶し、同時に自身をも切り刻んでいる彼女の痛みにもっと寄り添ってほしかった。しかしこの作品はメロドラマであるので、サラの叫びすら観客のお涙を頂戴するために消費されてしまうだけなのですね。
古い映画ならではの感覚ズレもしんどかった。ローラはサラに「あなたたちを私たちが差別したことがあって?」と大真面目に言うのだけど、いやでもアニーは召使いで当然と思っているじゃないですか。貧乏だった頃はまだ幾分対等だったのに。売れっ子女優になったら主従関係になっているとはこれいかに。黒人の仕事=白人に仕える召使い、という感覚が制作含めて普通だったのだろうな。
プライベートで家にいる間もきっちりメイクとヘアスタイルで、大きなイヤリングもつけているっていうのも今ではやらないよね。ラストの葬儀なんて国葬かと思うほどの大仰さが演出としてもあり得なく、かつての映画としての記号が大変古臭く感じてとても苦手です。