1.《ネタバレ》 ドキュメンタリーの作りとして、探偵が現場調査をするような感じで演繹的な構成となっているので、最近流行のエンターテイメント系のドキュメンタリー作品とは対極にあり見ていて面白いタイプの作品ではありません。要はビクトリア湖周辺で起こっている現実をありのまま世に知らしめようという、そういう作品です。確かに、工場で捨てられる魚を大量に集めて日干し?してるシーンのハエとウジ虫の有り様は凄まじいものがあります。人々の話す内容によって、貧しさから抜け出せない構造というものが見えてきます。劇中のおっさんが言ってた「アフリカはヨーロッパにブドウを、ヨーロッパはアフリカに武器を」という台詞、それもまた事実なのでしょう。そしてまたナイルパーチという外来種がビクトリア湖の生態系を狂わせているという現実。この作品の主題にはまさにこういったグロバール経済の暗部が焦点となっているわけですが、しかしながら、そのナイルパーチ産業が多くの雇用を生み出したこともまた事実なのです。要するになんでもそうですが、グローバル経済には明と暗があるわけで、この作品はその暗の部分だけに焦点をあてている。これまた劇中出て来た別のおっさんの言葉を引用すれば、「映像は暗部の部分だけを集めている。きれいな部分も見てほしい」である。