1.スクリーンで観たら、きっと陰影がすごくきれいなんだろうなあ、という屋内場面が多々あり。とりわけ廃工場のあれこれ、窓ガラスが落ちたりするあたり。ラストの若き女性バイヤーインタビューのかげりゆく屋外、もしかするとカメラのほうで操作してるのかも知れないけど。インタビュー形式で俳優に再現させる、という試みが、こちらは字幕を目で読むせいか、あまり意図が伝わらなかったが、無視して本人と思って読み続けた。皆けっこうドラマチックなストーリーを語っている。でもそれを映像で再現したら、押しつけがましくなったのだろう。語りに徹することで、それが濾過され、過去であることが強まった(小川紳介の『古屋敷村』も、語りに耳を傾ける映画だった)。そこで大きな「右肩下がり」の世界が見えてくる。いま中国はやたら右肩上がりという印象だが、その上昇の下には圧迫され廃墟化していく人々の暮らしもあるわけだ。日本でも60年代にドキュメンタリー映画の隆盛期が訪れるが、上昇部分とそれに踏みつけられる部分がクッキリしてくる時代、今の中国がちょうどそれなのか。時代の歌が随所にはいる。山口百恵のドラマ主題歌も革命歌も、懐メロとして同列に扱われる。