1.《ネタバレ》 昔に一度観たっきりで、美しい思い出となっていた本作を久々に観賞。
恰好良くスカジャンを着こなす主人公、坊主頭の敵軍団などは、日本の不良漫画「クローズ」に与えた影響も大きそうですね。
その他、劇中曲が有名なものばかりである点など、当時は分からなかった事にも色々と気が付けて、新鮮な気持ちで映画を楽しめたと思います。
ただ、思い出の中では「青春映画の傑作」という、非常に素晴らしい作品として記憶されていたのですが、今改めて観返してみると、少々退屈に感じる部分もあったりして、ちょっと残念でしたね。
主人公達はひたすら恰好良くて魅力的というイメージがあったのですが、実際は情けない場面も多いし、今一つ感情移入出来ない言動も多かったりしたのです。
記憶にも鮮烈に残っていた、導入部の「Walk Like a Man」の素晴らしさ。
そして「The Wanderer」のリズムに乗せて次々に仲間が集まり、喧嘩をしに向かう場面などは、今見ても胸躍るものがあったのですが、それと同時に(あっ、この場面の恰好良いイメージだけを憶えていたんだな……)と自分でも気が付いちゃったりして、何だか切なくなってしまいました。
序盤で如何にも大物といった感じで登場したペリーが、中盤以降は特に活躍する事も無く「個人の力も、大きな集団(=社会、時代などの象徴)の前では無力」劇中曲の歌詞通りに「鉄の拳があっても、何の役にもたたない」という描かれ方をしている辺りも、今となっては少々陳腐というか、単なる期待外れにも思えてしまいます。
それでも「ワンダラーズは永遠だ」という台詞は、やっぱり感動的だと思いますし、子供を卒業して大人になる事への不安、時代の変化と個人の成長、そして友との別れなど、映画の中で描かれた諸々に対し、今でも胸が熱くなるものがあったのは確かです。
勝手に思い出を美化していただけなのか、あるいは自分がこの映画に没頭出来る純粋さを失ってしまったのか、理由は定かではありませんが、かつての「青春映画の傑作」から「結構面白い、古き良き映画」という印象に変わってしまった形ですね。
確かな満足感と、ほんのり寂しい気持ち。
それらを同時に味わう事が出来た二時間でありました。