8.《ネタバレ》 一応コメディとして製作されているようですが、どうにも笑えない。オープニングでアニメを使っているので、『ピンク・パンサー』の路線を狙ってるのかと思いましたが、どうもよくわからない。犯罪がらみというのは共通していますが。しかし犯罪にしても、壺を盗むあたりのドタバタはどう見ても必要とは思われないし、なにがやりたいのかよくわからないところも。最後のオチは「なるほど」って感じで、コン・ゲーム映画としてはなかなか面白いです。
見終わって「これは誰のために製作したのだ?」という疑問が浮かびました。主な舞台はイギリスですが、どうもアメリカっぽい雰囲気がうかがわれます。もしかしてアメリカの観客を喜ばせるために作ったとか。つまり、アメリカ人というのはああいうバカバカしい、ある種下品なギャグを喜ぶものではないか(と、製作者は考えているのかも)。そう考えると、途中での日本人の描き方も、いわゆる「白人至上主義者」が喜びそうなものです。もっとも、最後に逆転されるわけですが……。
もしかすると製作者たちは、アメリカ人に対する大いなる皮肉をもってこの映画を作ったのかもしれませんね。そもそも原題の"Gambit"というのは、チェスでの捨て駒を使った戦法を指すようです。本作で捨て駒にされたのは誰か……ということを考えると、そんな気がします。最後に次の標的として挙げられている人物を見ても、「ある種の」アメリカ人を皮肉る、あるいはからかうことを目的としているのかもしれません。
そう仮定するとなかなか愉快ですが、もちろん本当にそういう意図をもって製作されたどうかはわかりません。それに、意図はともかく話としてあまり面白くないことには変わりませんし。最後のだましがまあよかったので、点数はオマケしておきましょう。