5.《ネタバレ》 役者さんの演技力。作品の雰囲気。ひきこまれるものは確かにあります。だから良い映画なのでしょう。
特に中盤以降がかなり良い。
ずっと負け続けてきた人生。ボクシングにのめりこみ、変わり始めた自分。
『一度でいいから勝ちたかった。』と泣きじゃくるラストの台詞が、この物語のすべてを語ってくれています。
ああ、良い映画を見たなぁという満足感は確かにあります。
斎藤一子のトレーニングの様子がどんどん洗練されていくシークエンスは、見ているこちらもモチベーションが上がります。
でもだからこそ、レイプネタいる?コンビニ強盗ネタいる?
それはもう人間ドラマではなくて、犯罪ですから。
ボクサーくずれの二股や、オープニングの姉妹喧嘩くらいまでじゃないですか?許容できるのは。
社会の底辺にいる人たちを描くのは良い。そこでもがく姿を描くのも良いでしょう。
でもそれと犯罪を同列に扱うのは、違うでしょ。
レイプした同僚、その後どうなったのか描かれないし。
コンビニ強盗のおばさんが、まるで人情味のある良い人みたいに描かれているし。
社員の男は決して善人とは言いませんが、少なくとも犯罪は犯していないし、会社のルールだって守っています。その社員のほうが悪者のように描かれる違和感。その違和感が、この感動的なドラマを見るにあたって、邪魔で仕方なかったです。