2.《ネタバレ》 作家性の違い。
スティーヴン・キングは辛い経験から、内なる恐怖と対峙し希望を見つけたい空想作家ですね。
キューブリックは恵まれた人で、恐怖に翻弄され罪を重ねる人間の業(性質)を客観的・批判的に描くタイプでしょう。
その意味で映画シャイニングは、原作を素材にした現実のメタファー。
現実だから、はっきりした答えのない永続性のある映画です。
ドクター・スリープは、映画シャイニングのキャクターとガジェットを借りたサイキックホラー。
キング流の、救いのあるダーク・ファンタジー作品。空想の世界です。
映画シャイニングの続編と謳(うた)いながら、テーマはまったく継続していない。
確かに、キングらしい後味のいい話で、希望を見せて終わる。
でも、キューブリックのイメージに依存し過ぎたため単品では成立しなくなり、もはや原作の続編とも言えない中途半端な作品になっている。
もっと悪く言えば、天才の作った「終わりなき映画」を、ファンの二次創作が強制終了させてしまった映画です。
ゲームをクリアするトリックとして、キューブリックのシャイニングを使った点で、レディ・プレイヤー1と同じレベルと言わざるを得ない。
まあ、キングとしては自分の作品を取り戻せて大満足なんでしょう。
この映画を絶賛する気持ちは分かる (笑)